第12回 優秀賞 kazu_ma 「White Octopus」 (宮城県・七ヶ宿ダム)
[選評] <選評・宮島 咲> 色の無い世界。ロックフィルダムの導流部という何気ない写真ですが、雪により色彩が奪われると、こうもシステマティックに見えてしまうものなのだと感動しました。色がある世界では目立つことのない、手前に写るコンクリートの凹凸や、左岸のり面の凹凸、そして、導流壁の複雑な形状。その逆に、右上に写る、普段は多種多様な色で構成されるはずの公園が色を奪われた光景。これらが総合的に作用し、巨大なオクトパス(タコ)がここに現れたのだと思います。 この作品を見て最初に感じたイメージは「カッコいい」でした。しかし、作品のタイトルを見てそのイメージが一新されました。この様な景色にもかかわらず、オクトパスを想像できる作者の感性には脱帽です。
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第12回 入選 kazu_ma 「混一」 (宮城県・七ヶ宿ダム)
[選評] <選評・窪田 陽一> 水の量感が、流れの緩急とともに、ひしひしと伝わってくる作品です。ダムの放流口に、暗緑色の斑模様を背に負った未知の巨獣が顔を突っ込んで伏しているかのようにも見えます。丸みを帯び傾斜して流れる水面に現れたさざ波は、ぬめるような艶めかしい肌合いを持つ襞にも見え、絞り込まれた水が泡立っている個所とは対照的な質感を覚えさせてくれます。表題の「混一」は、近頃の巷では流行らなくなった麻雀の役のことではなく、統合あるいは結束を意味する言葉のようです。水位が下がるまでの間、流水はここで束ねられ、宙を舞う飛沫を放散しつつ下流に落下し去っていく、その一切を一コマの静止画に凝集させた慧眼が見事です。
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第21回 入選 どらいばあ 「生」 (宮城県・七ヶ宿ダム)
[選評] <選評・中川 ちひろ> ごつごつとした岩から、かわいい緑の葉っぱが顔を出しています。どうしても出てきたかったのでしょうね。太陽の光は、おいしいかしら? つい、葉っぱに話しかけたくなる愛おしさです。仕事柄たくさんの「作品」を目にしますが、写真も絵画も、2次元の形をしているようで、じつは3次元だと思っています。やっぱりどうしたって、撮り手やつくり手は、そこに存在するのです。どらいばあさんのやさしいまなざしに、癒されました。
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