第9回 入選 KIYOTAKA 「早朝・ひざし」 (高知県・永瀬ダム)
[選評] 朝の陽光と影が織りなす幾何学模様とダム本体の形態が立体的に組み合い、そこに赤い鉄部と黒ずんだコンクリートの色彩が対比的に貫入するという、抽象的な現代造形美術のような非日常的感覚をもたらす作品である。ダム本体の各部分が、本来与えられている機能とは別の様相を持つ形象として眼前に立ち現れた瞬間を、極めて禁欲的にとらえている。明暗のコントラストが強すぎたためか、明部が白く飛んでいる点が気になるが、作画の意図であるとすれば、それもよしとしよう。暗部の比率が明部より多めであること、鉛直性にわずかながら欠けていることも惜しい気がする一方で、ダムの重量感と安定感に対するアイロニーを深読みさせるような謎解きができそうにも見える。
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