ダム事典[用語・解説](ダム計画上の水位と容量)


ダム計画上の水位と容量 (だむけいかくじょうのすいいとようりょう)
 ダム計画上、貯水池の水位として次のようなものがあり、一般に、最低水位、常時満水位、サーチャージ水位、設計洪水位の順に水位は高くなります。

■最低水位(LWL)
 貯水池の運用計画上の最低の水位。ダムの堆砂容量が水平に堆砂したときの堆砂上面とするのが一般的で、この場合堆砂位ともいいます。発電用のダムなどでは、堆砂容量のほかに死水容量をもつものがあり、このような場合は両方を貯めた場合の上面。通常これよりも下には取水口がなく、貯留水は利用できません。

■常時満水位(平常時最高貯水位)(NWL)
 ダムの目的の一つである利水目的(水道、かんがい、工業用水など)に使用するために、貯水池に貯めることが出来る最高水位。貯水池の水位は、渇水と洪水の時期以外は常時この水位に保たれます。

■サーチャージ水位(洪水時最高水位)(SWL)
 洪水時、一時的に貯水池に貯めることが出来る最高の水位。

■設計洪水位(DWL)
 想定される最大の洪水(200年に一回程度)が発生した時の流量を設計洪水流量といい、そのときの貯水池の水位を設計洪水位といいます。この時、ゲートは全開されています。自然現象として予想される最高の水位と考えられます。

 これらの水位と連動して次のような貯水池の容量が定められます。

■総貯水容量
 堆砂容量、死水容量、利水容量、洪水調節容量を全部合計したもの。

■有効貯水容量
 ダムの総貯水容量から堆砂容量と死水容量を除いた容量。

■洪水調節容量
 常時満水位からサーチャージ水位までの容量。

■利水容量
 最低水位から常時満水位までの容量。利水容量は利水目的に応じて利水目的毎の容量に分割されます。

■死水容量
 通常設定されることは少ないですが、一定の水位の確保を目的として、発電計画上の必要性がある場合、取水・放流施設設置上必要がある場合などに設定されます。その場合の堆砂容量上面と最低水位との間の容量。

■堆砂容量
 一定期間(一般には100年間)にダム貯水池に堆積すると予想される流入土砂を貯える容量。100年たてばこの堆砂容量は土砂で埋まるものと想定されますが、洪水調節容量や利水容量はそのとき埋まってはいません。