世界のダム 全項目表
 
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サンロケダム San Roque


 マニラより北に約200km、ルソン島のパンガシナン州とベンゲット州でフィリピン電力公社(NPC)を中心にしたフィリピン政府によって計画されたサンロケ多目的プロジェクトの一環。プロジェクトの構造物は全てパンガシナン州にあり、貯水池は北接するベンゲット州にまで及ぶ。
 プロジェクトはフィリピン外の民間資本によるBOT(Build,Operate and Transfer)方式で実施されている。すなわち、プロジェクト事業者であるサンロケパワー社(SRPC)が、ダムと水力発電所を建設(Build)し、25年間に渡って運転(Operate)し、その後NPCに発電設備を譲渡(Transfer)する。なお、ダム、洪水吐、監査廊などの非発電設備は、建設完成時にNPCに譲渡される。
 1998年にプロジェクトに着工、2003年2月14日に雑残工事を除き竣工、2003年5月1日にNPCによる全ユニットの技術審査に合格し、25年間の運転期間がスタートした。
 ダムは、高さ約200m、堤頂長約1.2km、堤体積約4000万立方メートルの中央遮水壁型ロックフィルダム。6門のラジアルゲートを持つ洪水吐がある。
 発電所は、容量115MWの発電機3台を有し、出力345MW。
 ダムの建設に当たっては、移転住民が多数に上り、社会的な影響が大きかった。住民移転は、下流のパンガシナン州で、約3600名、貯水池があるベンゲット州で、約200名に上った。このため、根強い反対運動があったようである。
国/河川 Philippines[フィリピン]/Agno  
完成年 2003
ダムタイプロックフィル
機能I,H,C
堤高/堤頂長/堤体積200m/1130m/43150千m3
貯水池容量990百万m3
ダム所有者National Power

【注】
データは、「WORLD REGISTER OF DAMS 2003」を基礎として、「Water Power & Dam Construction Yearbook 2003」、これら書物の新しい年版、雑誌の記事、ネット上の情報などを元に修正・補充して作成したものですが、資料によって情報内容が異なることがしばしばあり、正確性には限界があります。なお、ダムタイプについては、日本の型式分類の概念と必ずしも一致しない点がありますので、注意が必要です。

機能の略号は次の通り。
  C : Compensation
  F : Flood/River controll
  G : GroundWater recharge
  H : Hydro power
  I : Irrigation
  M : Multi-puroose
  N : Navigation
  O : Other
  P : Pollution controll
  R : Recreation
  T : Transfer
  TA : Tailings
  W : Water supply