1.事業の概要
 二ツ石ダムが建設される地域周辺は、宮城県北部に位置し、北上川水系江合川と鳴瀬川に展開した古川市外15町約20,000haにまたがる地域で、大崎耕土と称される県内有数の穀倉地帯です。 かんがい用水は江合川及び鳴瀬川、そして小河川等に依存しているが、用水不足に対応するため、水路の堰上げによる反復利用、番水等によりかろうじて地域全体の用水を確保している状況であります。 また、基幹水路の大部分が土水路であるため漏水が多く、加えて末端用排水施設の不備、農道および水田区画の狭小や底位部耕地の排水不良は、水田の高度利用や農業の生産性向上の阻害原因となっています。 これらの不足水量を確保するため、ダムを築造して用水供給の安定を図り、水路の新設、改修により用水系統の再編を行うとともに、底位部の灌水被害を解消するため排水施設の新設、改修を行い、併せて関連事業によりほ場整備等の基盤設備を実施し、大型機械の導入による省力化と複合経営の促進による農業経営の安定、及び近代化を図るものであります。
 
2.工事概要
 工事名称   鳴瀬川(一期)農業水利事業 二ツ石ダム第一期建設工事
 場   所   宮城県加美郡宮崎町宮崎字北地内
 発 注 者   東北農政局大崎農業水利事業所
 工   期   自 平成 9年10月24日
   至 平成14年 3月31日
 施 工 者   佐藤工業・西松建設・三井建設特定建設工事共同企業体
表.1 工事諸元





位 置右岸・宮城県加美郡宮崎町宮崎字北39番26
左岸・宮城県加美郡宮崎町宮崎字北35番14
基 礎新第三紀中新世魚取沼層の凝灰岩類及び流紋岩







流域面積19.1km2
満水面積0.52km2
総貯水量10,600,0003
有効貯水量9,7000,000m3
堆砂量900,000m3
常時満水位EL239.0m
計画堆砂位EL206.3m





型式自由越流式側水路型
設計洪水流量A=540m3/s
設計洪水位EL241.0m
越流水深2.0m
越流堰長92.2m
減勢工副ダム型式




型式トンネル方式
設計流量1/10=130m3/s 1/20=160m3/s(年)
延長552m
内径標準馬蹄形 2r=4.5m




型式斜樋型式
最大取水量7.801m3/s




型式中心遮水ゾーン型ロックフィルダム
堤高70.5m
堤頂長439.0m
堤頂幅10.0m
天端標高EL243.5m
堤体積合計:2,196,500m3
 
 
図−1 二ツ石ダム一般図
 
 
 
写真−1 二ツ石ダム完成予想図
 
3.工事の特徴
 二ツ石ダムは、堤高70.5m、堤長439.0m、堤体積2,053,200m3の中心遮水ゾーン型ロックフィルダムであります。
 基礎地盤の特徴は、新生代新第三紀中新世魚取沼層の凝灰岩から構成され、一軸圧縮強度が20〜40kg/cuの軟岩です。そのうえ、スレ-キングの激しい岩です。
 ブランケットグラウトでは、注入効果を上げるため、カバーロックを2m残し、規定圧1.5kgf/cu、注入速度1.0g/min/mで岩盤を破壊しないように丁寧な注入をおこなっています。
 二ツ石ダムの盛立フロー図は、以下に示します。
 材料の運搬は、ゾーン1材以外は、すべて10tダンプトラックで運搬をおこなっています。
図−2 二ッ石ダム盛立フロー図

 盛立材料において、特にフィルター(運搬距離32q)、ゾーン4及びリップラップ(運搬距離27q)は、購入材となります。 そのため、地元の町を通過するダンプトラック(生コン車を含む。)の台数を、最大で200台/日に緩和するのを目的に、盛立の1年前の平成12年から材料の仮置きを実施し、運搬の平準化に努めています。
 原石山は,堤体から上流に14kmの位置にあり、岩種は流紋岩です。 その原石山からは、ゾーン1の粗粒材とゾーン2、3材を採取します。ゾーンニングの変更により、原石山の材料の有効利用を計っています。

4.工事進捗状況
 工事は、平成10年4月から、左右岸の基礎掘削を開始し、平成11年7月に転流式を終えました。 その後、河床部の基礎掘削を実施し、1,159,400m3の掘削を完了させました。今年の4月には、河床部の岩検を受検後、岩着部の盛立を開始しました。 現在は、盛立量約50,000m3で進捗率は、約3%であります。9月には、定礎式を予定しています。

 
写真−2 盛立中の二ツ石ダム
 
5.ダム周辺の見所
5.1 ダム見学施設
 ダム見学資料館はありませんが、左岸天端に展望台を設置し随時一般見学にも対応しています。(月〜金 9:00〜17:00)
  連絡先:0229-69-5079(二ツ石ダム作業所)

5.2 ダム周辺の観光情報
 まず、はじめに、二ツ石の地名の由来を紹介します。
 ダムのある寒風沢部落の近くに「ヤット」という昔の屋敷跡あります。 昔、平家落人がかくれた所で、道路をはさんで高さ九尺、幅十尺、厚さ二尺の石の門が二つ立っていました。 このため、ここを二ツ石、そばを流れる川を二ツ石川と呼んだ。 向かって右側の門は今も残っています。 あとの一つは何時の世、何故か二ツ石川と田川の落合に転落した。 残った一つは淋しさの余り左の石が恋しくて、しくしくと声を立てて七日七夜泣きつづけたという伝説があります。
 では、ダム周辺の観光情報を紹介します。

・陶芸の里・ゆ〜らんど(宮崎町)
 二ッ石ダムのある宮崎町は、名陶・切込焼の産地として知られる陶芸の里です。 江戸時代後期から明治時代初期にかけて切込地区を中心に生産されていた切込焼は、 白地に藍色で模様を描いた染め付けが特徴の磁器で、原料の違いから有田焼のような純白の磁肌にはなりませんでしたが素朴で温かな風合いが多くの人々に愛されてきました。
 瑠璃、鉄砂、二彩、三彩など、数ある名品の中でも特に、茄子紺、瑠璃、黄白色で彩られた三彩の作品は、窯の火が消えて久しい今なお東北の陶磁器の華とたたえられています。
 「陶芸の里」は、その切込焼を紹介し、陶芸の体験も(手造りコース・・1,500円)できる施設です。その隣にある「ゆ〜らんど」は、温泉・宿泊所・コテージ・キャンプ場のある施設です。

  ・薬師の湯・林泉館・都邑館(小野田町)
 豊富な湯量、多彩なお風呂。薬師の湯の露天風呂は最高です。小野田町の木材をふんだんに使用した宿泊施設は、木肌の温もりを大切にした安らぎの空間。 土産センターでは、丹精をこめて作られた地場産品や特産品を販売しており、薬莱のお土産等に好評をいただいております。

・やくらいウォーターパーク(小野田町)
 小野田のシンボル薬莱山をのぞみ、藍い空と緑の大地に囲まれた絶好のロケーションに誕生した「やくらいウォーターパーク」は、子供はもちろん、大人も楽しめるスポーツパークです。 自然に包まれ、リラックスしながら体を動かせば、健康増進にもつながります。
たくさん体を動かした後は、薬莱山を眺めながら入る露天風呂もお楽しみください。

・畑のレストラン&地ビール ぶな林(小野田町)
 四季折々の薬莱高原の景色に抱かれながら、落ち着いた雰囲気の館内で、本場ドイツのブラウマイスターが自信を持って提供する、できたての地ビールをご賞味下さい。 また、地元農家が丹精込めてつくった、畑直送の新鮮な野菜をふんだんに使ったオリジナル料理 も自慢のひとつです。
 
写真−3  宮崎町陶芸の里
 


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