施工技術研究会の平成20年度の調査・検討状況は次のとおりである。 1.調査検討 第一部会:「高度技術提案型などの総合評価方式」の検討 総合評価方式は、価格と技術力など価格以外の要素を含めて総合的に優れた調 達を目指す公共工事発注方式であるが、高度技術提案型と標準型では技術評価項 目に大差ない場合が多い。高度技術提案型Vはダム本体の設計に関する技術提案 の余地がなく、施工方法に関する技術提案作成とその評価に関して長期間を要し、 応札者・発注者とも多大の労力と経費がかかるなど、改善を要する事項も多い。 これらについて現場の要請を聴取して応札者サイドの意見を整理し、課題解決 を図る資料として提案する。 第二部会:「コンクリートダムの施工」(A4判、476ページ、限定600冊) 1980年代以降建設され、あるいは現在施工中のコンクリートダム150ダムの施 工技術と実績を記録し、今後のダム施工に役立ち、次世代のダム技術者がコンク リートダム施工技術を継承するのに有用な教科書として、9月中旬発刊した。 「ロックフィルダムの施工」(A4判、950ページ、限定500冊) 1980年代以降建設され、あるいは現在施工中の我が国のフィルダム約70ダム の施工技術とその実績を記録し、今後のダム技術者のフィルダム施工技術継承に 有用な教科書としてとりまとめた。年度内に発刊する予定である。 第三部会: 総合評価方式、高度技術提案型入札方式で発注されたダム工事について、技術 提案と条件変更時のリスク負担について検討して、海外ダム工事の場合も含め、 法律・金融などの専門家を交えて取り組むこととする。 調査部会:第1班 「ダム工事におけるプレキャスト化事例調査」(継続) 第2班 「原石山骨材採取実態調査」(継続) 第3班 「ダム建設技術の古い記録の復刻・保存」 戦前から戦後にかけて、我が国のダム建設技術に一時代を画したダム について調査し、口承、写真、記録などを保存する。 2.検討成果の発信 調査検討成果は、関係機関やダム工事事業者に発信する。 また、ダム工事の計画・設計・施工に従事する技術者をはじめ広く一般向けに刊行する。 |