「音のシャワーを浴びてみませんか?」 新潟県新発田市にある「内の倉ダム」で、10月17日土曜日、ダム堤体内コンサートが行われた。 内の倉ダムは日本国内に13しかない「中空重力式ダム」で、内部はかなり広い空洞となっている。この空洞ではとても音が良く響く。いわゆる残響音が数秒間続くのである。 この残響音を利用して、通常とは異なった音の響きを楽しもうと、地元「ダムを奏でる会」が主体となり、毎年今の時期にコンサートを開催している。
コンサートは今回が8回目。毎回違った楽器、演奏家が音楽を奏でる。 今回は、サックス&チェロ、ハーモニカ、横笛といった取り合わせ。
堤体内と言うこともあり、収容可能な人数はスタッフなども入れてせいぜい100名。余裕を見て、70名を公募したところ、80名を越える応募があった。 堤内へは管理用エレベータで降りるのだが、このエレベータの定員が7名。1名は操作係の方なので、お客さんは6名まで。片道70秒かかるので、全員が堤体内に入るのに30分ほどかかる。 堤体内はご存じの通り、年中13℃程度。じっとしていると寒くなるので、入場者には暖かい服装の用意をお願いするとともに、受付で使い捨てカイロが配られた。
◎音のチャレンジ 演奏はまず、「西村 朗」さんによるサックスで始まった。スローテンポの曲が堤内に余韻を残す。次に同じく西村さんによるチェロの演奏。これも反響音が重なり、幻想的な雰囲気を醸し出す。
◎音を楽しむ 次に「伊藤パン屋」さんのハーモニカ演奏。踊りながらハーモニカを演奏するというスタイルは、躍動的であり、「音楽〜音を楽しむ」を体現したもののように思えた。
◎音を極める 最後は、『和』。邦楽の大家の「福原洋子」さんとお弟子さんの横笛の演奏。 嫋々たるというのだろうか、横笛の音色がダム空間に響き渡り、そして吸い込まれていく。聴衆は息を殺して横笛の音色に聞き入った。
当日は、予定時間を若干オーバーしてコンサートは終了した。 後日、参加者に書いてもらったアンケート集計結果を主催者から見せていただいたが、ほとんどの人が「良かった」との感想を持っていた。ただ、反響音が良すぎて、人がしゃべると何を言っているのかわからない、という意見も多く、今後の課題に一つと感じられた。
|