大規模ダムに採用される、中央コア型ロックフィルダムという型式がある。ダムの断面を見みると、真ん中に水を貯めるコアという土質材料がある。その上流側と下流側にコアの土粒子が浸透水に流されないようフィルターという砂礫材料が配置されている。さらに、フィルターの外側をロックと呼ばれる岩石材料がコア、フィルターを支えている。
コア、フィルター、ロックはそれぞれ三者三様の大切な役割を果たしながら、大きな水圧に耐えているのである。それらの体積比はおおよそ、1:1:8になっている。これらの材料は近くの山や河床から採取して、ダム材料として調整して盛立てられる。
材料採取の原型に思いを馳せると、気づくことがある。一般的な山の内部構成を見ると、真ん中に岩石があり、その外側に風化した岩石や砂礫材料があり、表面は表土などの土質材料となっている。ダム材料から見ると、ロック、フィルター、コアの材料順になぞらえることが出来る。この山を裏返した形がロックフィルダムということである。
ロックフィルダムは山を換骨奪胎して作られるとも言える、山を裏返すという発想である。自然の材料を巧みに活かしたロックフィルダムは偉大な先人の知恵である。
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(2007.11.9、北川正男)
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