ダム協会のホームページ内にダムの総合情報サイト「ダム便覧」(1)がある。このサイトを構想し始めたのが、平成14年の1月、未公表だったが最初の試作版「ダムデータベース2001」ができたのが平成14年2月だから、早いものでそれから8年が経った(2)。その後、平成14年6月に「ダム便覧2002」として公開、以後拡充を重ねて、現在の「ダム便覧2009」に至っている。
このサイトを始めたのは、いろいろあるが、当時、ダムに関する賛成反対の議論が高まっていた一方で、ダムの情報が十分には普及していないように思え、事実関係についての認識が人により一致しない、あるいは全く誤った認識も見られるようなことで、ダムの実態を知ってもらうことの必要性を痛感したためである。
現在、1日のアクセス数(ページビュー、末尾の表を参照)は1万を超え、ダム関係の組織からのアクセスと一般からのアクセスがほぼ同じくらいではないかと推測される。ダムについての膨大な情報を日々発信し、ダムのポータルサイト(3)としての機能を果たしつつある。
一般の利用がかなりあるわけだが、その中には、ダム好き、ダムマニアなどと呼ばれる人たちも含まれている。ダムマニアと言えば、かつては世間から好奇の目で見られていたが(4)、今や、ダムマニアによる充実したプライベートサイトが増加し(5)、「ダム巡り」という言葉とジャンルが定着し、ふかちゃん(6)のように千を越えるダムを回ったダム好きが現れ、萩原雅紀さん(7)、宮島咲さん(8)、夜雀さん(9)など、活発な活動を続ける人気と実力を兼ね備えたダム好きが登場し、時にはダム好きが企画するイベントが開催される(10)など、大きな盛り上がりを見せている。このような現在の状況は、ダム便覧を構想した当時には予想もしていなかった。
ダムに実際に行って、ダムの姿を見ることは、ダムの実態を知る上で極めて有効な方法であり、ダム便覧は一貫して、ダム巡りやダム好きの活動を支援してきている。また逆に、現在のダム便覧は、ダム好きの協力なしには考えられない。「テーマページ」や「このごろ」にはダム好きの投稿による記事が多数あり、7万を超える写真を公開している「フォト・アーカイブス」の写真の多くはダム好きが提供したものである。ダム便覧は、こちらから一方的な情報提供行うのみの一方通行的サイトではなく、ユーザー参加型の双方向性のあるサイトでありたいと願っている。
ところで、ダム便覧は言うまでもなくネット上のサイトだが、情報発信手段としては、新聞、テレビといった旧来のマスメディアもあり、出版物などもある。様々なメディアの中で、インターネットの役割と将来性についてどう評価すべきであろうか。takaneさんは「ダム便覧をはじめとするコンテンツの作り方はやっぱりウェブに対しての期待と信頼があって成り立っているのだと思う。」と書いているが(11)、その通りだと思う。旧来のメディアも当然良さと役割があるだろうが、ネットの影響力は今後ますます高まるのではないか。
構想から8年、ダム便覧はその間一貫して拡大路線を歩んできた。しかしそろそろ、足元を見直し、将来の方向性につき基本的な課題を検討すべき時期かもしれない。今後どうするかについて。
【参考】 (1)「ダム便覧」 http://damnet.or.jp/Dambinran/binran/TopIndex.html (2)「Mini History」 http://damnet.or.jp/Dambinran/binran/Others/MiniHistory.html (3)水戸 義忠「本格的インターネット時代を迎えたダム工学分野」 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=395 (4)「ダムマニアを御存知ですか」 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=103 (5)「主要リンク先(プライベートサイト)」 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranA/LinkSaki.cgi (6)「ダムのサイト・自己紹介 〜Dam's room〜」 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=162 (7)「宮ヶ瀬ダムのインパクトがすべての始まり」 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=358 (8)「ダム好き仲間とOFF会に行くのが楽しい」 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=361 (9)「ダムのサイト・自己紹介 〜雀の社会科見学帖〜」 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=82 (10)「09年の最後を飾る『ダムナイト3 大忘堰会』が開催される!」 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/Konogoro.cgi?id=144 (11)「ウェブ時代のダムの周辺」 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/Konogoro.cgi?id=15 (これは、ダム協会内部資料に掲載したものを、一部修正の上転載したものです。)
|
(2010.2.15、Jny)
|
|
ご意見、ご感想などがございましたら、
までお願いします。
|
|