2010年8月7日(土)、8月8日(日)開催! 会場:日吉ダム(京都府南丹市日吉町)
「あかりがつなぐ記憶」は、日吉ダム・天若湖全体を舞台にした壮大なアートです。 8月の夜、2晩だけ、水没した天若集落の家々のあかりが、ダム湖面に浮かびます。 時空を超える幻想的なあかりをぜひ体験してください。 当日は、京都市内からのバスツアーやガイド付き観覧バスもあります。(詳細は公式ブログにて確認してください
本年で6回目を迎える「天若湖(あまわかこ)アートプロジェクト」は、日吉ダムを舞台にした川とアートの祭典です。市民による新しいダム湖面の利用を公募したことをきっかけに、桂川流域ネットワークとNPO法人アート・プランまぜまぜの異分野市民団体のコラボレーション企画としてはじまりました。現在、実行委員会には、流域市民団体やアート関係者だけでなく、京都造形大学や摂南大学、大阪商業大学など大学生も多く参加しています。
このプロジェクトのメインプログラムである「あかりがつなぐ記憶」は日吉ダムのダム湖に沈んだ天若集落のあかりを夜の湖面に再現する壮大なアートです。湖面に浮かべるあかりの制作や家屋のあった場所の水面へのあかりの設置・固定は実行委員会が日吉ダム管理所の協力を得ながら行っています。
昨年、5年目にして初めて、湖に沈んだ5集落(宮村、世木林、沢田、楽河、上世木)すべての家屋のあかりを再現することに成功しました。しかし、夜間点灯しなかったり、水に流されてしまい位置が不正確になってしまったり、反省点も多くありました。そこで、本年は反省をもとに全面的な見直しをはかりました。
7月中旬準備が整い、いよいよ試験点灯を行おうとした矢先、豪雨で天若湖に大量の流木が流れ込む事態となりました。それに伴い、2010年7月21日実行委員会は、点灯範囲を縮小する、実施計画の変更を決定しました。
実施3週間前に起こった難題に取り組む湖面あかりの設営担当であり、土木技術者の卵として摂南大学都市環境システム工学科で学ぶ大学生である小笠原裕介君、影林義賢君(ともに澤井ゼミ所属)に経緯や現在の心境について語っていただきました。
湖面あかりの配置図 【インタビュー】
■あかりがつなぐ記憶の実施にあたって、摂南大学澤井ゼミではどんな役割をしていますか? 影林:主にはボートを使った湖面あかりの設営作業です。
■これまではどんな準備をしてきましたか? 小笠原:春先からチームリーダーの下村泰史先生(京都造形大准教授)と一緒に、「あかりがつなぐ記憶」湖面あかり設営についての会議をはじめました。
■今年の設営計画でリニューアルした箇所を教えてください。 小笠原:もともとは「上世木」地区の湖面あかり設営を僕たち摂南大学澤井ゼミが担当するという計画で進めていました。(※1)昨年の設置計画では村の道に沿って基準点(※2)を入れる計画でした。それを見たとき、水の流れが計算されていない計画だったので、土木を勉強している身として、直感的におかしいと感じました。時間がたつとロープが水の流れの影響を受けて「村のかたち」が崩れてしまいます。それで、水の流れに沿った設営計画に見直しました。
※1:流木流入までは上世木以外の4集落(宮村、世木林、沢田、楽河)は日吉ダム管理所がエンジン船で効率の良い設営をする予定だった。 ※2:村の並びを正確に再現するため、測量で基準地点を定めブイを入れることを「基準点」という。各家々のあかりは基準点からロープでつなぎ浮かべる。
■7月中旬に降った豪雨の影響で、設営の障害となる流木が天若湖に大量に流れ込みました。実物を見たときはどんな印象を持ちましたか? 小笠原:連絡があった時点では、ここまでの量とは思いませんでした。日吉ダム管理所の所長からダム湖の水位が豪雨の影響で8m上がったと聞いて、事態は思ったより深刻だと思いました。流木が水面を流れているのを見て「難しい」と思いました。
大量の流木や葦が帯状になって浮かぶ天若湖 ■7月17日、流木が浮くダム湖で試験設置のために、手漕ぎボートを出したときはどんなことを思いましたか? 影林:楽観的かもしれないけど、湖面に浮いているのはほとんどが葦で大きな木が思ったより少なかったので、手漕ぎならそんなに危険ではないかな、と感じました。 小笠原:でもエンジン船は(浮いている葦を吸い込んでしまったら)故障する危険がある・・・。
■7月21日時点で、5集落のうち2集落(宮村・上世木)を断念し、規模を縮小することになったのですが、そのときの気持ちは? 影林:仕方がないことかな、と思いました。日吉ダム管理所も実行委員会の気持ちを汲んで、縮小しても実施できることに感謝しています。でも残念・・・。 小笠原:妥当な判断だと思いました。でも上世木はやってみたかったなぁ・・・
■当日来訪される方にひとこと 影林:見に来てくれた方には、ただ「あかりがきれい」というだけでなく、この湖の下に村があったということの意味を感じてほしいと思います。 小笠原:規模は縮小したけど、比較的観覧しやすい場所のあかりは灯すことができます。写真などで満足せず、ぜひ実物を見に来ていただきたいと思います。見に来てもらうことが、僕たちは嬉しいです。
■「あかりがつなぐ記憶」に携わって、ダムについて感じたことがあれば・・・ 小笠原:今回のことで、ダム湖に浮かぶ流木を実際に見て「日吉ダムはよくがんばったな」と思いました。日吉ダムが流木を受け止めていなかったら、これが全部下流に流れたということですから。
2人の奮闘ぶりは天若湖アートプロジェクト公式ブログでも掲載しています。
流木が流入した天若湖を見つめる (左から小笠原君、影林君)
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[関連ダム] 日吉ダム
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(2010.7.27、天若湖アートプロジェクト実行委員長:さとうひさゑ)
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