《このごろ》
鹿島建設の社内報に載った。

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 「月報KAJIMA」は、毎月発行されている鹿島建設の社内報である。発行部数はおよそ33,000部ということなので、書店に並んでいる建築や土木分野の雑誌にも全く引けをとらない。
 7月号の誌面で久々にダム特集をするとのことで、1921年に日本初の発電ダムである宇治川電気・大峯ダムを建設して以来、国内外で200基を超えるダム建設に携わってきた鹿島の歴史を振り返りつつ、「これからの社会におけるダムとは何か」を探るというもので、「新・日本ダム紀行」というタイトルだ。宮ヶ瀬ダムなどの現場ルポと座談会で構成されている。


 〜人と風土と、ダムがつくる文化〜と題した座談会では、ダムの魅力についてすそ野を広げる取り組みとしてダムマニアさんのことや、当協会のダムマイスター制度について一般読者にもわかりやすくという視点で語って欲しいとのことであった。
 座談会と聞いてどういう方たちとお話するのか?と、緊張もあったが、当日お会いするメンバーは、ダム工学会顧問の入江さん、土木写真家の西山先生、このほど鹿島建設執行役員になられたCMED会の高田さんと、以前から面識があり、ダムインタビューにご登場いただいた方なので少し気が楽になった。

 座談会の内容そのものについては、これまでダムインタビューでいろいろ伺ってきたダムについてのお話もあって、楽しく話をさせていただいた。そのなごやかな様子がまとめられ、オールカラーのきれいな誌面に印刷されたものを手に取った時は、感慨深いものがあった。やはりカラーの誌面だと目に入ってくる情報が多い。今後Webのダイジェストページが掲載されるということなので、そちらでご覧いただくことも可能だ。


 先日の京都の国際大ダム会議のサブイベントでも感じたことだが、日本にはダムマニアさんという、一般人のダムのサポーターがたくさんいることを、もっとダムの専門家など、ダムの世界にいる人も意識すべきだと思う。それは人気のあるプロゴルファーやサッカー選手がファンやサポーターを大事にしているのと同じようなことではないだろうか。

 ダムマニアさん達は、自らの興味に基づいていろいろとうんちくを語りつつも、ダムの目的やその働き振りをちゃんと一般の人にわかりやすく解説してくれる。例えば、夜雀さんはこれまで何度かイベントで、ハイドログラフを用いて、いかにしてダムが洪水を防いでいるかをドラマチックに説明している。時間ごとに変化するそのグラフは、流入してくる雨の量と放流する水の量を表しているのだが、その差こそがダムに一旦蓄えられて、洪水を防ぐために役立っているのだが、一般の人はハイドログラフを見る機会もなく、詳しい説明を受けることも無いので馴染みが薄い。

 できれば、こうした説明が受けられる機会をなるべく多く見つけ、たくさんの人に解って貰うことが望ましい。そうしてダムに対する理解の裾野がどんどん広がっていってくれれば、これほどすばらしいことはない。いつもは、聞き手に回る私だが、今回皆さんとお話しさせていただいたことで、すごく刺激を受けることができた。これからもこういった取り組みを紹介していきたい。

(2012.7.3、中野朱美)
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