多摩ニュータウンには「せせらぎ緑道」というものがある。それは昭和50年代の宅地造成のため、埋もれてしまう別所川のかわりに、人工河川で水の流れを作り、遊歩道を備えた憩いの場所だ。 この流れの途中に、ダムがあるという。
宅地を流れるせせらぎ緑道
宅地を流れるせせらぎ緑道
ダムといっても地表にそびえるコンクリート造ではない。 地面の下にある地下ダムといわれるものだ。 地下ダムというと、コンクリート止水壁を直線的に地中に作り、地下水を確保するものを思い浮かべる。 だがここのダムは、盛土で堤体を作り、地上部分は公園として活用されている。 このような盛土の地下ダムは、兵庫県三田市にもあるようだ。
なぜ「せせらぎ緑道」の途中に地下ダムがあるのか。 それはせせらぎの流量を確保する際、水源地を上流部のみとするのではなく、池の貯留や、浸透設備、地下ダムを作ることによって、基底流量の約3倍を確保することができるという。
せせらぎ緑道の水源地・長池
せせらぎ緑道の起点・姿池
実際にダムがあるという公園を訪れてみる。 なだらかな斜面に芝生が広がる公園だ。 元々は別所谷戸と呼ばれる谷状の地形であったが、下方には堤体を築き、貯水池内は砂盛をおこなったそうだ。 公園内にはダムを紹介する案内表示板がないため、ダムを連想させるものは、簡単に見つけることはできない。 唯一あるのは、地下から水をくみ上げるための、ソーラー揚水ポンプ盤と書かれた、電気制御ボックスである。
別所公園
ソーラー揚水ポンプ盤
いくらダム好きだからとはいえ、これだけではなんとも物足りないと思いつつ散策していたところ、公園内で一番標高が低い北側に、ちょっとした親水設備があった。 ぽたぽたと水が流れているだけで、手を洗うにも物足りない程度であったが、この場所に、この施設が、設置されているところに、強い意味合いを感じた。 地上からは見えないもの、存在を実感することは難しいもの。 そんな設備の意義を可視化するためではなかろうかと。
手洗い場
上流方面を望む
堤高や堤体長のデータはわからなかったが、貯水能力は約770m3ということなので、ダム便覧に掲載される規模のものではないと思われる。 冬の寒空の下、地中にあるダムを見に来たのだが、次は暖かい南の島にある地下ダムを見に行きたい、そう思うのでありました。
下の地図は貯水池内に盛り立てられた、砂質土地表面積0.88haをイメージ化しています。
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(2013.1.29、mayuno)
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