《このごろ》
天理ダム放流中

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 天理ダムは、奈良県天理市の水道水源や洪水調節を目的とした多目的ダムとして建設されました。天理市は、甲子園常連校の天理高校や著名な宗教団体の本拠地として知られています。宗教上の教義等は別として、天理市の街並がどことなくローマ市のバチカンに似た雰囲気を持っており、個人的にはこの宗教都市の景観に好意を抱いています。
 最近では、天理ラーメンや天理メロンパンなどB級グルメ的な面で知名度を上げているようです。


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1.天理ダム放流中

 「雀の社会科見学帖」BBSで天理ダムがクレスト放流中という投稿を見たのは数か月前の事だった思います。何か土砂の撤去工事等で水位を低下しているような内容であったと、おぼろげに記憶していました。水位低下による放流は、通常ごく短期間で終了するはずです。すでに、放流は完了しているものと思っていました。

 この日は、大阪市内で所用を済ませた後に、サクラと天理ダムを撮影したいと思い当地に向かうことにしました。阪神高速14号線・西名阪自動車道を経由して名阪国道天理東ICからダムに向かいます。名阪国道は、高速道路に準じた自動車専用道路として建設されました。全線高規格道路であっても、一般国道ですので開通当初から通行料金は徴収されておりません。最近になって一部区間で最高速度70キロまで引き上げられたようでが、原則として制限速度は60キロとなります。
 以前、名阪国道を、120キロくらい(大幅な速度違反です)で走行中、覆面パトカーに停止を命じられたことがありました。ところが、警察官は「流れに乗って走行していたとはいえ、あなたの速度超過を現に確認した。ただし、今回に限り警告ということで処理するので、反則きっぷは切らない。今後は、スピードの出しすぎに気を付けるように。」と通告して去って行きました。その覆面パトカーは、奈良ナンバーでした。私が停止を命じられた場所は名阪国道三重県内でしたので県警の管轄関係から「警告のみ」で放免されたのかもしれません。


名阪国道

 天気予報では、この日、爆弾低気圧が太平洋側に発破を仕掛けることになっていました。ダイナマイトに点火される前にダムに到着しなければ、サクラが散ってしまいます。急がなければなりませんが、法定速度は遵守しなければなりません。幸い、偏西風の力が弱かったためか爆弾低気圧の移動速度が遅く、サクラに間に合いました。そして、想定外なことにクレストからの放流も見ることができました。


放流中の天理ダム

2.堆積土砂撤去工事

 この日の放流は少し違和感がありました。フリーフローとしてはローラーゲートの位置が中途半端です。右岸側のクレストからは越流していません。よく見ると、数本の鉄管のようなものから水が噴出していることがわかりました。


クレストゲート付近の拡大

 ダム湖側に回ってみると青垣湖は湖底をあらわにし、建設重機も湖底に散見できます。


青垣湖湖底

 堤体上流面を観察すると、何本もの鉄管がゲート付近に設置され、動力で汲み上げて放流しているようです。


天理ダム上流面

 この工事では土砂を撤去する作業のため、当分の間ダムに水を貯留することができません。したがって、流入量をすべて放流する必要があるのでしょう。このため、通常使用している河川維持放流用バルブではなく、このような仮設備をつくって放流していると考えらます。

 以上のことから天理ダムという河川構造物は現に存在していますが、事実上ダムが機能していない自然の河川状態(全流入量=全放流量)を人為的に作出しているということになります。ダムが機能を停止しているということは、ある意味で危険な状態とも言えます。

3.多目的ダムの使命

 天理ダムは、多目的ダムです。ただ水道用水だけを確保すればよいというダムではありません。
 天理ダムのローラーゲートは少し中途半端な位置で止められていました。貯水しないのであれば、ゲートをすべて引き上げても問題はないはずです。また、ゲートをすべて引き上げたうえで、点検・防錆・再塗装などを行う方がむしろ合理的ではないかと考えました。
 ところがやはり、ローラーゲートの位置がこの位置で止まっているのは別の理由があると思います。天理ダムは、洪水調節を行う使命も帯びています。万が一にも、ゲートを全開しているときに大洪水がこの地を襲うかもしれません。ローラーゲートが全開でないのは、想定外の大洪水が発生した時に建設重機やこれまでの土砂撤去作業を犠牲にしても下流の住民を守るという強い決意があるからです。天理ダムは、現在ダムとしての機能を一時休止中ではありますが、決して惰眠をむさぼっている訳ではないのです。


天理ダム

 天理ダムの土砂撤去工事は、予定では7月末まで行われるようです。当分の間、このようなクレスト放流を見ることができそうです。安全第一で、堆積土砂撤去工事を完了してほしいと思います。また、働きづめであった天理ダムには、つかの間のリフレッシュ休暇をエンジョイしてほしいものです。

[関連ダム] 天理ダム
(2013.4.12、安部塁)
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 (安部 塁)
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