《このごろ》
日本国際賞授賞式 〜高橋裕先生が受賞〜

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 高橋裕先生に第31回日本国際賞(Japan Prize)が授与されました。平成27年4月23日、天皇皇后両陛下ご臨席のもと、科学技術分野で優れた業績をあげた研究者に送られる「日本国際賞」授賞式が東京有楽町・国際フォーラムにおいて行われました。前回、授賞が決まった際の記者発表会も取材させて頂きましたが、今回は授賞式本番です。報道関係者として入場するにも顔写真付きの身分証明書の携帯が義務づけされ、ボディチェックをはじめカメラ等の機材、その他所持品チェックも厳重に行われていました。会場には招待客を含め890名が来場し、お琴の演奏をバックに静々と入場。招待者の中には、竹林先生、宮村先生の姿も見られました。


賞牌を掲げる高橋裕先生
(写真提供:(公財)国際科学技術財団)

記念の「賞牌」
(写真提供:(公財)国際科学技術財団)

 今回の高橋先生の授賞理由は、「流域管理の革命的概念の創出と水災害軽減への貢献」というものですが、その研究の出発点は、東大に入った年に起こったカスリーン台風による大洪水であったそうです。この時、高橋先生は首都東京の東半分を水没させた大洪水の現地調査に携わりますが、大学院進学後の1953年に発生した筑後川の水害での現地調査で明治以降、積極的に行われてきた近代的な堤防による洪水対策がかえって被害を大きくしているのではという疑問を持ち、明治、大正、昭和、三代に渡る膨大な水位及び雨量等の河川データ解析を行い、時代を経るに従って流域の変貌とともに洪水規模が増大したことを科学的に明らかにされました。それは、明治初期、デ・レーケ等のいわゆるお雇い外国人土木技術者によってもたらされた西洋式の河川改修技術の導入により進められた連続堤防の建設にまで遡ります。

 堤防が出来るまでは、大雨があると川の上流部でも氾濫が起きて、主要河川への水の集中が遅れていたのが、堤防のおかげにより短時間で下流の都市部に到達することから、洪水のたびに下流部の流量が増大し、その結果、被害が拡大するという現象が起きていたのです。
 その後、高橋先生は豊富な現地調査のデータをもとに、都市部の水害を防ぐためには、流域全体で治水対策を進めていくべきという「流域管理」の概念を提唱されました。この概念を基に流域に調整池や地下施設などを配置するという現代の総合的な治水対策が考案され、水害軽減に大きな効果をもたらすことにつながります。
 高橋先生がおっしゃる「自然と向き合って川を感じることで解ることがある」という言葉の中に、日本ならではの川と寄り添いながらの暮らしというものが感じられました。


高橋先生ご夫妻


高橋先生の受賞者挨拶と天皇皇后両陛下


受賞者を祝福される天皇皇后両陛下

 今年で31回を数える「日本国際賞」は、これだけ栄えある授賞式なのに、メディアであまり取り上げられていないことにやや疑問を感じます。私も、正直この賞の存在をほぼ知らなかったのはどうしてなのか?やはり見聞きする機会が少なかったのだと思います。
 ノーベル賞に匹敵する権威ある賞として発展させていくためにも我々自身が関心を持ち、広めていくことが必要だと改めて意識しました。

(2015.4.28、中野朱美)
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