《このごろ》
「新阿武川発電所オーバーホール」工事見学会に行ってきました

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 新阿武川発電所(山口県萩市)でオーバーホール工事に伴う見学会が開催されるとの情報がありました。週末を利用して行ってみましたので、レポートさせていただきます。

 阿武川ダムは重力式アーチダムの中では全国2位の堤高を誇り、また最後に建設された同型ダムです。平成27年に世界文化遺産として登録された「明治日本の産業革命遺産」が点在する萩市街に近く、すぐ周囲には温泉施設もあることから、山口県内でもお勧めのダムの一つです。
 ダム直下にある新阿武川発電所は山口県下最大出力(19,500kW)の発電所です。現地では、日頃は閉じているフェンスが開放され、案内標識や幟が立てられています。



 敷地に入ってすぐ変電設備があります。送電用として11,000Vから66,000Vに昇圧され、全量が電力会社に販売されています。



 敷地内に入ると、堤体の直近まで近寄ることができます。堤高95mの直下はなかなかの迫力です。
 日頃は近寄れないゲートも間近で見ることができました。発電用の取水が止まっているため、代替としてコンジットゲートから放水しています。これで毎秒8立方メートルとのこと。発電用の水量は毎秒30立方メートルですから、この3倍以上です。



 企業局職員の方の案内で内部を見学させていただきました。
 事務所部分に隣接する広間が発電機室で、見下ろすような位置に発電機があります。オーバーホールのため、中は空洞状態になっています。外周には子供たちが書いた絵が貼られています。



 発電機のすぐ脇に、取り外されたフランシス水車が置いてありました。近くで見ると重厚な金属の塊で、あまり回っているところが想像できません。



 発電機室から階段を降りて下層に向かいます。水車は地下二階にあたると思われる階のさらに床下レベルにあります。床はグレーチングになっており、巨大な送水管が見えます。



 最下層も空洞状態でメンテナンス作業中です。この位置に上階の水車が吊り下げられて収まるのだと思われます。



 発電機の内部や巨大な水車など、普段見ることのできない機器等を見ることができ、貴重な経験になりました。12年に1度のオーバーホールとのことで、次回はだいぶ先になりそうです。帰りには2箇所の発電所カード(新阿武川発電所・相原発電所)をいただき、併せて「森と湖に親しむ旬間(施設開放)」の案内もありました。
 山口県企業局は23年ぶりに電源開発を行っており、水力発電の啓発を積極的に行っているように感じます。また次回のイベント等を楽しみにしたいと思います。

[関連ダム] 阿武川ダム
(2016.1.25、拾泉舎)
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