「用水の一滴が血の一滴」と刻まれた石碑がある新潟県柏崎市で平成28年11月3日に市野新田ダムの定礎式が行われました。
石碑 市野新田ダムは農林水産省によるかんがい目的のフィルダムで、国営柏崎周辺農業水利事業の一環として建設されます。すでに供用されている栃ヶ原ダム、後谷ダムに次いで、平成31年度から約1,000haの水田を潤すことを目指し建設が行われており、先月の10月10日には栃ヶ原ダムと併せて一般向けの見学会が開催されたところです。 そして今回、堤体の本格的な打設に際して定礎式が行われました。
式典会場 定礎式に先立ち、施工業者の(株)フジタによる修祓式が開催され、地域の神主によるお祓いが行われました。
修祓式 あいにくの降雨、強風の中での開催となりましたが、排水ポンプの出動もあり定礎式の準備は万端です。
排水作業
定礎式は北陸農政局の主催により開催され、北陸農政局長による挨拶から始まり、市野新田ダムは農林水産省最後のダムとなること、本ダムは水田を利用した高収益農業の推進のための基盤となるものであること、また、地域の理解と協力に対するお礼などが述べられました。 その後は、来賓祝辞、工事概要の説明と続きましたが、いずれの方々も「この地域は水源がため池や沢水などに頼り、排水の反復利用で用水をなんとか確保してきたこと」、また「このダムは生産の基盤となる施設の一部であり、農業の競争力強化に資するものであること」ということについて触れており、柏崎周辺地域におけるかんがい用水確保への苦労と、このダムへの期待が伺えました。
挨拶 その後は、「定礎の儀」に移り、まず、事業者と施工業者による礎石搬入が行われました。 定礎石のサイズは縁起のいい数字として7:5:3の倍数である56cm×40cm×24cm、重量はダムの有効貯水量160万立方メートルにちなんで160kgとなっているそうです。
礎石搬入
礎石搬入 搬入された礎石に対し、鎮定(ちんてい)の儀、斎鍬(いみくわ)の儀、斎槌(いみつち)の儀が関係者により行われていきます。
鎮定の儀
斎鍬の儀
斎槌の儀 そして礎石埋納と続きます。 これは、式典の中で最もダイナミックな動きがある儀式でした。 柏崎周辺農業水利事業所の監督により、「祝定礎」の看板が掛けられた履帯式のダンプ車による土砂の運搬、同じく「祝定礎」付きのブルドーザーによる埋め立てが行われます。 これで、定礎石は二度と人の目に触れることはありませんが、ずっとダムの一部としてこの地域の農業を支えていくこととなります。
ダンプによる土砂運搬
ブルドーザーによる埋納
礎石埋納 礎石が埋納されたことで式典も終盤です。 地権者の方と地元の方によるくす玉開披が行われました。ここまでは風雨が強い中の式典となっていましたが、天候が回復し青空も覗く中でのくす玉開披となりました。平成元年から始まった柏崎周辺農業水利事業も大詰めになってきた感があります。(国営事業は本ダムの供用が始まると概ね終了ですが、その後も県や土地改良区による水田や水路の整備はしばらく続くことになる見込みです。)
くす玉開披 最後に地元の刈羽村村長による盛大な万歳三唱が行われ、工事の安全やダムの活躍による地域農業の振興が祈念された定礎式は滞りなく終了しました。
万歳三唱 ダムが出来たからといってもお米を育てるにあたり「用水の一滴が血の一滴」の心が簡単に変わるわけではないと思います。美味しいお米が安定して食卓に届くように、市野新田ダムの活躍と柏崎地域の農家の方々のご努力をお願いしつつ、これから本格的に進む市野新田ダムの堤体盛立における工事の安全とダム完成までの間に干ばつ被害が発生しないことをお祈りします。
柏崎水田 なお、機会を見つけて様子を見に行く方に私からのオススメ情報として、柏崎名物の鯛茶漬けやサバサンドをご賞味いただけますようお願いします。お土産は海産物のほかにも、柏崎の日本酒「越の誉」や「あべ」などがオススメです。
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