九州北部を襲った線状降水帯(次々と発生する発達した線状雨雲により、長時間にわたり同じ場所に停滞しながら豪雨をもたらす)に伴う豪雨により、7月5日(木)15時からの寺内ダム上流箸立地点1時間降雨量は106mm、一雨としての総雨量は412mmを観測しました。
寺内ダムへの流入量は管理開始からの最大となる888立方メートル/毎秒を記録。寺内ダム管理所では適切な防災操作を実施し、流入量の約99%にあたる約878立方メートル/毎秒を寺内ダムで貯め込み、ダム下流への放流を大きく減量させたところです。この結果、ダム下流では河川の水位上昇を抑え、水害の軽減に大きく寄与したものと思われます。
(寺内ダム湖の洪水前・後状況)
今回の様な線状降水帯による降雨の予測技術は、台風とは異なり未だ十分に確立されていないものと推測されます。
そのためダム操作に必要不可欠であるダム流入量予測が極めて困難となり、緊迫した状態だったのではないかと投稿者(ダム管理経験者)としては感じました。
特にゲート操作が夜中であり、豪雨下での下流巡視などが厳しい状況下にあって、管理所職員が与えられた職務を全うすべく奮闘され、適切なダム操作をなし得たことに心より敬意を表したいと思います。
また、ダム湖には大量の流木が押し寄せましたが、ダムにてこれを完全捕捉し、下流での流木災害(報道では、流木による被害拡大が述べられています)の軽減に大きく役立ったものと考えられます。
(寺内ダム湖大量流木の捕捉)
7月11日の報道として、政府は「流木対策チーム」を設置したとのことです。
これから、災害復旧の支障となる大量の流木の迅速な除去や適正処理等が控えており、災害現場では猛暑の中、まだまだ心労が続くものと心配しております。
なお、私が常日頃感じていますダムの目的(治水・利水・環境)に「流木・土砂補足効果」を新たに明文化すべき時期に来ているものと再認識したところです。
これから台風シーズンに入りますが、全国のダム管理に携わる皆さんへの激励と感謝の想いをお伝えし、投稿者もダム愛好家の皆さんと共にダムの果たす役割を広く国民に理解されるよう微力ながら努めてまいりたいと決意を新たにしたところです。
(掲載資料引用:(独)水資源機構ホームページより)