2020年10月18日(日)に、兵庫県にある一庫(ひとくら)ダムで川の「耕し隊」というイベントが行われました。川の「耕し隊」は、2005年から「一庫ダム水源地域ビジョン」の一環として、一庫ダム水源地域ビジョン推進協議会が主体となって、ダム管理所や猪名川漁協をはじめ、河川管理に関わる主体が一体となって毎年行われている取り組みです。一庫ダムの上流(一庫大路次川)でアユの産卵場所を確保するためにクワなどを使って浅瀬の石を掘り起こし、川底を整地しています。
写真1:川の「耕し隊」の募集フライヤー
アユは「年魚」と言われ、産卵から2週間ほどで孵化した後、下流へと流され、海へ到達します。半年程度、海の浅いところで動物プランクトンなどを餌としながら過ごし、春先になって川へ遡上して成長し、秋ごろに川で産卵します。ダムがない河川では海まで流されることになりますが、一庫大路次川のように途中にダムがある河川では、海の代わりにダムが冬場の主な生活場所となります。このようにダムを冬場の滞在場所として、春先に上流河川に遡上してくるアユを「湖産アユ」と呼んでいます。「湖産アユ」の産卵期は「海産アユ」よりも早く、10月〜12月頃であり、ちょうどこのタイミングで川底の石を掘り起こし、堆積した土砂などをかく乱させることによって、アユの産卵場所を確保しています。
写真2:当日朝の一庫ダム
当日朝の一庫ダムは、濃い霧に包まれており、今後の天気が心配でしたが、作業開始時には幸いにも晴れました。ダム管理所から川の上流へと移動した後、早速胴長を着用し、耕すための道具をもって川の中へ入りました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、フェイスシールドを着用し、ソーシャルディスタンスを確保しての作業となりました。先日雨が降っていたようで、水は少し多めでした。
写真3:耕し作業のようす
川の流れが比較的穏やかで、深さがそれほど深くない場所を中心に1時間程度耕しました。多くの石が砂をかぶってしまっている状況だったものをかく乱させ、産卵場を整備しました。
写真4:アユの塩焼き
耕し作業が終わった後は、周辺の清掃作業を行い、最後にお待ちかね・アユの塩焼きをいただきました。塩味が控えめで、「香魚」とも呼ばれるアユ本来の味を楽しむことができました。さらに、一庫ダムで育った「湖産アユ」もいただくことができました。地元のアユをこのような形でいただくことができるのは、本当に幸せでした。
写真5:参加された皆さんの集合写真
今回私はこの活動に初めて参加しましたが、ダム管理所の皆さん含め、川に関わる多くの方々が協力して河川流域の環境を作っている取り組みに感動しました。今回クワなどでキレイにした川底に、たくさんのタマゴを産んでくれて、今後もアユに恵まれた川であり続けることを願っています。
写真6:黒川ダリヤ園
活動終了後、一庫ダムのダム湖「知明湖(ちみょうこ)」の周辺地区である黒川地区にある「黒川ダリヤ園」に行きました。色鮮やかなダリヤの花がちょうど見ごろを迎えており、多くの方々が見に来られていました。毎年10月頃が見ごろとのことですので、一庫ダムに行かれた際には是非足を運んでみてください。
参考:
一庫ダム管理所HP:https://www.water.go.jp/kansai/hitokura/
一庫ダム広報誌「かわらばん ひとくら」:https://www.water.go.jp/kansai/hitokura/dekigoto.html
(毎月、一庫ダムやダム周辺地域の情報をお知らせしています)