《このごろ》
「貯」にしてほしかった

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 昭文社から「なるほど知図帳 世界に誇る日本の建造物 現代日本を作ったビッグプロジェクト」という本が刊行された。「時代を映す日本の巨大建造物+土木遺産 500選」とある。橋やトンネルやダムなど、土木構造物が基礎知識と写真で紹介され、もちろんダムも多数紹介されている。本の構成を見ると、土木構造物を大きく区分しているが、その名前の付け方がちょっと変わっていて、しゃれている。

 漢字一字で、橋は「架」で表し、もちろん架けるの意味。トンネルは隧道の「隧」。で、ダムはどうかと見ると「塞」とある。ダムといっても、「ダム、堰堤、砂防ダム」をひとくくりにしてこの字を当てたようだが、何となくしっくり来ないと思うのは私だけだろうか。説明によれば、塞(せ)くと読み、水の流れを塞き止める意味だという。しかし、ワープロでせき止めると打ってみると、「塞」の字はでてこない。この字は「ふさぐ」と打つと出てくる。

 ダムを漢字一字で表すとすれば、「貯」ではないか。利水にしろ治水にしろ、水を貯めることによってその機能を発揮する。機能面に着目すれば、「貯」で異論はないように思える。もっとも、「貯」といえば貯金が思い浮かぶのではと言われればそうかもしれない。それでも、「貯」にしてほしかった。

 それはともかく、土木写真家の西山先生の写真がたくさん掲載されていて、少数だがダム好きの撮った写真もある。先ほど本屋さんに行ったら、多数積んであった。末尾には詳しい地図も載っていて、ダムも、橋も、トンネルも見たいといった方には好都合だと思います。

(2007.10.15、Jny)
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