ダム協会掲示板NO.1512に名前がでました武田光雄(CMED:ダム工事総括管理技術者)です。 スルーシング等の用語解釈について、ご回答します。
ダム貯水池に堆積した土砂を排出する技術は、図.1に示すように貯水池内に堆積した土砂を排砂する技術と流入前に排砂する技術に分かれます。
貯水池内の排砂技術は、佐久間ダム、横山ダム、相模ダムなどで代表される水位を下げての掘削工法や水上からの浚渫工法が現在も主力工法として施工されています。また、新しい排砂技術に分類されるかもしれないダム堤体内の土砂用ゲートからの土砂排出として、富山県黒部川の出し平ダム(関西電力)と7km下流に位置する宇奈月ダム(国土交通省)との連携排砂・通砂工法があげられます(図.2)。
ご質問の用語解釈は、この動作のしくみ中ででてくる排砂をフラッシング、通砂をスルーシングに置き換えると理解できると思います。
排砂(フラッシング)と通砂(スルーシング)とは、ダム貯水池内に堆積している土砂を洪水時に合わせて貯水位を低下させて排出することを排砂(フラッシング)といい、土砂流入が多い洪水期に貯水位を低位に維持して、流入してくる土砂を通過させる方法を通砂(スルーシング)と呼んでいます。 ダム堤体のゲート操作が似ているので、分かりにくい面があり、いずれどちらかで呼ばれるのではと思います。
もう一つのご質問である「フラッシュ方式」は、方式というより「フラッシュ放流」と呼ばれています。スルーシングなどとの違いは貯水池内の土砂排出が目的ではなく、ダム下流の河川環境の改善のために、一定規模の流量を定期的に放流することで、河川の清掃や土砂投入と相まって生物の生息環境の改善を目的としています。
参考文献 1) 水力発電土木施設のリニューアル技術:(社)日本電力建設業協会、平成20年3月 2) 国土交通省北陸地方整備局黒部河川事務所資料
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(2009.1.23、武田光雄)
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