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下流河川の環境復元に向けて(一庫ダム)

 猪名川の上流に位置する一庫ダムでは、魚が住むような川を復元したいという下流住民の願いに応えて、下流河川の環境復元に取り組んでいる。ここに、その様子を紹介する。
《河川環境が悪化》

 一庫ダムは、管理を開始して以来20年ほど経過しているが、大阪から近いことなどから、その間、ダム周辺は大阪のベットタウンとして発展し、河川環境も大きく変化した。ダム周辺は都市に近い数少ないアユの友釣り場として有名だったが、現在では、アユ釣りをする人もアユの姿もみかけることがほとんどなくなってきている。
 このため、下流の住民は、かつてのように魚が多く住む川を復元したいと強く願っており、一庫ダムでは、これを受けて試行錯誤しながら下流河川の環境改善に取り組んでいる。


都市に近い一庫ダム
《水際域の復元》

 ダム下流の河川は、岩盤が露出し、陸生植物が水際まで繁茂する現象が進行してきている。
 アユが生息するには河床材料や水深にある程度変化があり、アユがなわばりを作るための河床材料が必要。アユが隠れるだけの頭大の石が沈み、河床の砂礫、細砂が動くような状態が好ましい。
 このため、平成14年に、人工的に陸生植物を除去するとともに、玉石を投入することで水際域と瀬を復元する対策がを実施された。
河川環境の変化
ダム建設当時(昭和57年)

平成14年
玉石の投入とヨシの除去

施工前

施工後

《土砂の投入とフラッシュ放流》

 さらに、平成15年には、下流河川で魚類の産卵場所となるような砂場ができ、また、魚類の餌になりにくい長く伸びた藻類等を洗い流すように、河川内に土砂を投入し、併せてダムからの放流水量を増加させるフラッシュ放流が実施された。
 これらの結果、少しずつではあるが、河床の環境が変わってきているという。

河川に土砂を投入

フラッシュ放流
(付着藻類の剥離状況)
フラッシュ放流

フラッシュ放流

《地域住民との連携》

 地域住民と連携を深めるための努力もされている。地域住民を交えて河川環境復元について議論する意見交換会を開催したり、身近な河川環境の大切さを知ってもらうため、漁業協同組合の指導によるアユの放流体験をかいさいするなど、地域と一体となった活動にも取り組んでいる。

[関連ダム]  一庫ダム
(2004年10月作成)
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