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この夏は異常気象

〈平成16年の夏は記録的猛暑〉
 暑い夏がやっと終わった。終わったと思ったら、今度は天候不順なのか、曇りがちであったり、台風が来たりで、なかなかすっきりしない。
 ともかく今夏の暑さは、記録的だった。9月に入っても残暑が厳しく、9月21日には、気温が30度以上の「真夏日」が東京で68日に、大阪で90日にも及び、ともに年間最多記録を更新した。
 暑さは、経済には好影響を与えたようだ。夏物衣料や、エアコンなどの売上が伸びた。また、大手銀行が取り扱う「天候デリバティブ」の人気が急上昇したという。これは、天候異常によって損害を受ける恐れがある企業が、損害分を取り戻すのに役立つ金融商品だという。

〈梅雨前線による豪雨も記録的〉
 新潟県・福島県では7月12日夜から、梅雨前線が活発化して、中越地方を中心に記録的な大雨となった。平成16年7月新潟・福島豪雨だ。この豪雨で長岡地域を流れる刈谷田川、三条地域を流れる五十嵐川などが破堤し、大きな被害が生じた。この梅雨前線は、一旦北上したがその後南下し、17日夜から18日にかけて、福井県・岐阜県で大雨となり、福井市などで大きな被害が出た。いずれも、梅雨前線が局地的に豪雨をもたらしたものだ。

〈そして台風〉
 今年は、日本に上陸した台風が異常に多い。現時点(9月30日)で、8個にも及び、平年は2.6個だというから、その多さが分かる。今も、台風21号が本州を縦断する形で北陸地方から岩手県に進み、大きな被害を出している。まだ台風シーズンは終わらないのに、この状況だ。
 上陸台風が多かった原因として、フィリピン東沖の海水温が例年になく上昇し、上昇気流が生じて台風が発生しやすくなり、また、上昇気流の影響で太平洋高気圧が平年より早い6月から日本列島を覆い、猛暑をもたらす一方で、高気圧の縁を進む台風が日本列島に来やすくなったという説明がされている。

異常気象地球温暖化の影響か〉
 こう見てみると、この夏は、異常気象の夏であった。これは地球温暖化の影響であろうか。専門家の間でも諸説あって、必ずしもはっきりしないようだ。地球温暖化の影響であり、このような状況は強まりながら今後も続くとの見方がある一方で、今年限りの一時的な現象だとの見方もあるようだ。
 国立環境研究所などのグループは、地球温暖化がこのまま進むと2100年には真夏日が平均的に見ても年約120日も発生するとの予測を出している。これはちょっと衝撃的な予測だ。68日や90日どころではない。120日に至る過程が既に始まっているとの見方もできよう。
 一時的か否かは、今後数年の気象状況を見ればはっきりするのかもしれないが、専門家の方々には、是非とも科学的観点から明確な理論と予測を打ち立てて欲しいものだ。

〈ダムはどうなる〉
 異常気象を受けて、ダムは影響を受けるのだろうか。
 ダムの役割は大きく言えば治水と利水だ。地球温暖化の影響で猛暑やその他諸々の異常気象が複合的に生じているとの立場に立てば、利水への影響は複雑で、より詳細な分析を待たなければならないだろう。
 治水面での影響はより明確だろう。豪雨や台風が今後起こりやすくなるなら、ダムの必要性は確実に高まる。今夏の異常気象が長期的傾向であるとすれば、ダム計画を含む治水計画は全面的に見直さなければならないといったことも想定されるだろう。「ダムは無駄」などといっている場合ではなくなる。オーバーシュートしすぎたダム無用論は、大きく見直されるべきだ、ということになろう。
 それにしても、今夏の異常気象は、今年限りの現象か、長期的傾向か、それが知りたいのだが。

(2004年10月作成)
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