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4. 重信川の自然再生に向けた新しい枠組み

 対立でなく、調和と連携を

 重信川の自然をはぐくむ会は、上述したような目的に基づいて設立されています。地域とNPO、行政、それと大学生が一体となって重信川の自然再生に取り組み、維持管理を行うとともに、環境学習に活用します。
 河川行政は、長良川や吉野川に見られるように住民との対立が際立つことが多いようです。対立からは何も生まれません。不信感からは建設的な意見も出てきません。吉野川の第十堰の改修問題も長い対立から何が生まれたでしょうか。行政も反対住民も、それが空白の期間であったとするなら本音は寂しいものだと思われます。そこに、後生に語り継がれるような美しい心の交流や動きがあったであろうか。不信感や憎しみの感情で動いているとしたらあまりに貧しいし、情けないものです。表向き如何にそのような感情を否定しようと、そのことは本人が心の奥底で知っているはずであるし、気がついていると信じたいと思います。したがって、何よりもお互いに前を向いて話し合うことが必要であると感じます。



「ために生きる」精神が活動の原点

 重信川を舞台として人と人のネットワークの構築ならびに水と緑のネットワークの構築をはかることが必要です。重信川という素晴らしい舞台を設定するのも、演ずるのも、演出するのも、一人一人が主役です。一人一人が川の美化に取り組み、環境保全に取り組み、そこからエネルギーをもらい、それを生きる糧とする。ともすれば失いつつある「ために生きる」精神を一人一人が取り返すための舞台です。人間は一人では生きていけません。自然と共生し、他人と協調していく、その根底は戦後の日本人の多くが忘れかけている「ために生きる」精神であるということを今一度認識するための会です。
 日本人はもともと公徳心に富み、自然の背後に心の美を求める精神を持っています。松のように青々とした生命力を好み、竹を割ったような潔い心にあこがれ、桜のように一瞬の生命のきらめきをこよなく愛する。今そのような古き良き日本人の心を忘れ去ろうとしています。
 対立からは何も生まれないが、協調や共生からは無限の可能性が開けてきます。

 具体的活動の一部紹介

 最後に、重信川の自然をはぐくむ会の活動のごく一部を紹介します。詳細は重信川の自然をはぐくむ会のHPを参照下さい。
(http://www.soil.cee.ehime-u.ac.jp/shigenobu/)

【松原泉の再生保存】
 松原泉を再生保存する会では、地元流域市民と重信川の自然をはぐくむ会が一体となって、松原泉再生のために整備計画への提案、整備計画地へ植栽する樹木や花木のポット苗の育成、地元小学校と協働してホタルの飼育・放流に向けた研究活動の実施、小中学校による積極的な環境学習の実施など積極的な取り組みを実施しています。今年度には、松原泉と小川の施工が完成(一部高水敷き、低水路等の工事が残る)する予定です。


 ふるさと浮穴クラブは、松原泉を再生するために、地元小学校の浮穴小学校の協力により、学校のクラブ活動の時間を利用して松原泉に関して環境調査や施工への参画、維持管理等を実施するクラブです。浮穴小学校4年〜6年生で構成され、総勢17名で調査等を行っており、重信川の自然のはぐくむ会のエコリーダーが指導しています。一年を通じて、熱心な活動を展開しており、植物調査、昆虫類調査、魚類調査、ホタル調査、松原泉の復元検討など、実に年間20数回の活動を実施しています。

【水生生物調査講習会】
 水生生物調査講習会は環境教育に興味のある人を対象に、子供たちが重信川に触れ、親しみ、楽しみながら自然環境を守ることの大切さを知ってもらうためのボランティアスタッフやリ−ダ−を育成するための講習会です。今回の参加者はNPO等の各種団体や大学生、行政等の総勢18名であった。


【親子防災学習交流会】
 川は楽しい遊び場や、興味深い学習の場という顔だけではありません。大雨が降れば、甚大な災害を引き起こします。何よりも治水の大切さを学ぶことが重要です。
 写真は新居浜市立川地区での親子防災学習交流会の一コマである。松山市の親子が土石流の被害現場を見学して自然災害の破壊力の大きさと防災の必要性を学習している。


 立川地区では、20数年前に台風豪雨による土石流により、大災害を受けた。それを教訓として、町内会で自主防災組織を結成しました。昨年の台風の豪雨により大規模な土石流が発生し、民家数戸が全壊や半壊などの被害を受けました。しかし、自主防災組織がしっかりと機能している立川地区では、新居浜市から避難勧告が出る前にいち早く安全なところに避難して、1人のけが人も出ませんでした。立川地区の自主防災組織の活動はNHKの全国放送でも取り上げられ、一躍脚光を浴びています。


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