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T.はじめに

 迫川上流域は、宮城県北部の栗原市及び登米市並びに岩手県一ノ関市に展開する農業地域であり、農林水産省迫川上流農業水利事業の受益地である約1万ヘクタールの水田と周辺の山々からなっている。この地域の下流東端に位置する伊豆沼・内沼は、国内でも有数のガンカモ類、ハクチョウ類などの渡り鳥の越冬地で、ラムサール条約に登録されている。

 ここ数年の伊豆沼・内沼への渡り鳥の飛来数は、増加の一途をたどっており、この要因として他の越冬地における生息環境の劣化により集中していることが推測され、このような集中化は、渡り鳥間における伝染病の蔓延などの悪影響が危惧されている。


迫川上流域位置図
 このような中、平成17年度に迫川上流(二期)農業水利事業が完了し、迫川上流域には、本事業の基幹施設である小田ダムを含め4カ所のダムが整備された。これらのダム湖は、現在、渡り鳥などの飛来地となっており、伊豆沼・内沼に集中している渡り鳥、特にガンカモ類の過密状態の緩和や危険分散において、生息場所として利用される意義は大きい。

 さらにこの4カ所のダム湖を単体の水辺空間として捉えるだけでなく、伊豆沼・内沼とその間に広がる水田との有機的な連結、いわゆるエコロジカルネットワークの形成を維持することが渡り鳥の生息にとって有効であると考えられる。そこで平成16〜17年度の2ヶ年にわたり、本地域を対象に渡り鳥調査を行い、ダム湖の生息地としての役割、エコロジカルネットワーク形成のための環境条件や可能性について検討した。以下にその検討結果を紹介する。


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