[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]


1.千葉県の海岸埋立開発

 大正9年、第1回の国勢調査が行われた。その年の千葉県の人口は133.6万人であった。その後の人口の推移をみてみると、川崎製鉄が千葉製作所の建設を決定した昭和25年に213.9万人、千葉港が特定重要港に指定され、八幡製鉄所が操業を開始した昭和40年に270.1万人、そして昭和49年に400万人を突破。東京ディズニィランドが浦安にオープンした昭和58年に500万人を越え、現在(平成19年5月1日)609.6万人に増加してきた。

 この人口増加の要因は、高度経済成以降東京都の発展による道部圏の拡大、さらに臨海部の埋立による工業団地における大企業の誘致が進んだからであるといえる。浦安市から富津市に至る75qの海岸線に約12000haの埋立が完了し、このうち工業用団地面積は8758haに及ぶ。幕張地区をはじめ、検見川地区、稲毛地区、蘇我・今井地区、生浜地区、五井・市原地区等の海岸は、埋立によって、漁業に影響を与え、海水浴、潮干狩りを楽しんだ面影は消失したが、いまでは新たな海浜が一部生み出された。これらの埋立による工業団地には、幕張メッセ、住宅地が並び、さらに川崎製鉄、東京電力、丸善石油、日産石油、極東石油、三井石油化学、出光興産、富士石油、住友化学、東京ガス、新日本製鉄などの多くの大企業が進出し、京葉工業地帯を創り出した。

 一方、内陸部においても工業団地約2800haが造成され、先端技術をもった企業が進出した。
 平成17年の工業出荷額は12兆1046億円(全国7位)で、その出荷額の割合は臨海部56%、内陸部44%とバランスがよくとれている。

 また、農業も野菜を主体に都市近郊型農業へと変貌した。平成16年の農業産出額は4224億円であった。

2.千葉県のすがた

(1)千葉県の位置、地勢、気象

 千葉県は本州中央部の東端に位置し、東西に狭く、南北に長く、外海に突出する半島であって、東南は太平洋に面し、西の一部は東京湾を形成し、北西は江戸川を隔てて、東京都、埼玉県に接し、北は利根川を堺にして茨城県に連なり、周囲を海と川に囲まれている。東西103.1q、南北133.6qの拡がりをみせ、面積は5156.64km2、海岸線は530.5qに及ぶ。

 また、千葉県の地勢は全体に標高が低く、200m〜400m級の山々が連なる房総丘陵、平坦な下総台地、利根川流域と九十九里沿岸に平野が広がる。千葉県の最高峰は愛宕山標高408.2m、続いて鹿野山379m、清澄山377mに過ぎず、至るところに谷地が存在している。全国的にみても低平な県といえる。また海岸の総延長は530.5qであり、変化に富んだ景観をみせている。

 三方を海に囲まれた千葉県の気象は、冬暖かく、夏涼しい海洋性の温暖な気象である。年間における日雨量が50o以上の日数は南部で6〜11日に対して北部では3〜4日程度である。

(2)千葉県の地域区分

 旺文社編・発行「日本の地理E関東地方」(平成2年)によれば、千葉県の地形の特色によって、京葉と東葛、下総台地と下利根平野、九十九里浜平野、南房総の4つの地域に分け、次のように記している。

1)京葉と東葛 
 東京から君津市まで臨海工業地域であって、鉄鋼、造船、石油化学などの大工場や火力発電所が集中、千葉港には大型の鉱石船やタンカーの出入りが盛んである。工業地域に沿って国道や鉄道が敷設され、JR総武線は東京都千葉を約一時間で結び、市川市、船橋市、またJR常磐沿線の松戸市、柏市、我孫子市なども東京の通勤圏となり、東京の衛星都市となっている。京葉地域でも市原市なども通勤地域に入り、住宅地の増加が目立っている。

2)下総台地と下利根平野
 下総台地は畑作地帯であるが、佐倉市やその周辺に住宅地が増えている。この広い台地は、野菜、落花生、サツマイモの栽培が盛んで、牛や豚などの家畜の飼育も多い。

3)九十九里浜平野
 北の行部岬から南の太東崎まで約60qも続く弓形の砂丘海岸は八列の低い砂丘が南北に連なる。砂丘は集落、畑、道路、林などに利用。農業は、砂丘にビニールハウスやビニールトンネルをつくり、園芸農業、植木畑も増えた。水田は大利根用水と両総用水の施設によって安定的に用水出来るようになった。
 九十九里浜平野と下総台地の境には旭、八日市場、成東、東金、大綱、茂原などの都市が連なる。また、茂原市は天然ガスを利用した工業都市となっている。

4)南房総
 山地の少ない千葉県のなかで房総半島の屋根という房総丘陵を成しており、丘陵には日本の乳製品工業発祥地といわれている嶺岡牧場がある。また、清澄山、鹿野山、鋸山の房総三名山が連なっており、日蓮が開いた清澄寺、そして山地はそのまま海岸に延び、岩石海岸となる。多くの観光客で賑わう。
 冬でも暖かい南房総は、1月には菜の花が咲き、海岸には数段の段丘があって野菜や草花の栽培が盛んで、富山町を中心にビワ山が多く、ビワの生産額は長崎県、鹿児島県に次いで全国第3位を占める。また、漁業も盛んで、大原、勝浦、小湊、千倉、舟形などの湊は、市場、輸送私設、製氷工場、水産加工物などが建ち並んで漁業の中心地となっている。


[次ページ] [目次に戻る]
[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]