[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]


3.千葉県の河川

 千葉県の河川は、北に茨城県を境に利根川、北西には東京都、埼玉県に接する江戸川の一級河川が流れている。
 一級河川水系86、二級河川137、準用河川136の合計362が流れており、その総延長は3673.8qである。

 千葉県県土整備部編・発行「千葉県の河川−県土の保全と整備」(平成17年)によると、次のように6つの地域に分け、その特徴を述べている。

1)利根川・江戸川支川(坂川・座生川・平賀沼・印旛沼・長門川・根木名川・黒部川・清水川等)

 北部は利根川、西部は江戸川に接した軟弱地盤を形成。流域の大部分は下総台地からなる。下総台地を水源とした河川は、北部または西部の低地に流れ利根川・江戸川に注ぐ内水河川となっており、出水時には本川の上昇が長期に及び、排水に苦しむ地域である。

 利根川沿川地域を中心に農地の面的整備が進み、台地部では西から都市かが進行、このため流出増を招き下流河川への負担増となっており、洪水時には水防活動が重要な地域である。

2)東京湾沿岸河川(真間川・海老川・都川・村田川・養老川・小櫃川・小糸川等)

 北部は下総台地、南部は東京湾沿岸平野の低平地を形成しており、下総台地を水源とする河川は、東京湾沿岸平野を流れ、東京湾に注ぐ。下流部は潮位の影響を受けやすい。都市化が最も進んだ地域で、河川の水循環は悪化し、緑地等も減少。河口部は埋め立てられ、水害の発生頻度は高い。

3)九十九里河川(新川・栗山川・木戸川・作田川・真亀川・南白亀川・一宮川等)

 河川は下総台地を水源とし、低平地である九十九里平野を緩やかに流れ、太平洋に注ぐ。河口部付近では河口閉塞がみられる。中・上流部の水田の排水路整備にり流出形態が変化し、下流部に影響を与えている。

4)上総丘陵河川(養老川・小櫃川・小糸川・湊川・夷隅川等)

 豊かな自然環境に恵まれた水源函養地域で、千葉県では最大の多雨地帯である。上流部は谷が深く急峻で、中流部にかけて蛇行が厳しく、砂防河川に指定されている区域が多い。丘陵部ではゴルフ場等の開発が進んだ。洪水調節や農業、水道用の水源となるダムが数多く建設されている。

5)安房河川(佐久間川・岩井川・平久里川・長尾川・加茂川・丸山川・大風沢川等)

 千葉県の最南端に位置し、温暖な気候を生かした農業、酪農が盛んで、都市化の進展は見られず、人口は減少傾向を示している。小河川が多く、平地が少なく、地滑り地帯を形成。観光開発に伴う流出増が懸念される。

6)下総台地区域(坂川、根木名川、栗山川、一宮川・真間川・都川・養老川等)
 千葉県北部から中央部にかけて広がっており、ローム層に被覆された透水性のよい成田砂層を主体とした地質で形成され、県北部地域の河川の水源となっている。大小の河川により台地の端部に谷津が形成され、そこに水田が開かれ、河川はそこを流下し、利根川、太平洋、東京湾に注ぐ。

 流域には農地、山林が広がっていたが、台地の西部から都市化が進行している。

4.千葉県の水害

 千葉県の水害状況について、前述の「千葉県の河川」により、昭和46年9月、昭和61年8月、そして平成8年9月の台風災害から、次のように引用してみた。

1)昭和46年9月6日〜7日(秋雨前線および台風25号)

 台風接近以前から本州沿いに前線があって、雨が降りやすい状態になりました。台風接近にともなって次第に雨が強くなり、夜半、台風の通過する頃その極に達し、県下各地で大雨となりました。降雨は県下全域にわたりましたが、特に県東部および南東部海沿い地方で激しくなり、総雨量は勝浦の557oを最高に、大多喜490o、一宮414o、上総中野383o、清澄375o、銚子371oと各地で300oを越え、前年の大水害時の降雨記録を上回るものとなりました。時間最大雨量は勝浦で122oという記録を残し、その他各地も40〜60oという強い雨を記録しました。この豪雨で、県内東岸の新川、栗山川、夷隅川などや、利根川へ注ぐ根木名川、黒部川、大須賀川、小野川などの河川の出水は、前年と同程度あるいは既往最大となり、浸水家屋は床上・床下を合わせて22000戸以上、被害を受けた耕地35000ha以上(一部、収穫を終えた地域を含む)、鉄道、道路、河川、通信施設、その他で、被害総額は260億円を越えるものとなりました。

 また、この大雨では、台風による突風(銚子で最大瞬間風速49m/s)をともなったため、多古町、八日市場市、芝山町、小見川町をはじめ各所でがけ崩れが発生し、しかも深夜であったため、生き埋めなどの死者56人、負傷者98人という大惨事となりました。

2)昭和61年8月4〜5日(台風10号)

 台風10号は、8月4日21時、石廊崎の南約120qの海上で温帯低気圧に変わり、その後、5日未明にかけて房総半島を縦断しました。

 県内では、4日から5日の早朝にかけて、各地で台風にともなう集中豪雨が観測され、総雨量173o(山武町)〜294o(富津市)、時間最大雨量18o(銚子市)〜50o(木更津市)を記録しました。降雨の特徴は、外房において少なく、葛南地方および柏から佐原にかけての布佐地区などで多く、これらの地域の降雨観測所における既往最大記録を更新することとなりました。

 この豪雨により、千葉、船橋、市川などで浸水や土砂崩れなどの被害が相次ぎました。特に、真間川流域では床上965戸・床下1943戸、海老川流域では床上395戸・床下2031戸、都川水系葭川流域では床上・床下合わせて約370戸の浸水被害をそれぞれ記録したほか、九十九里平野の栗山川水系では農地250haが冠水しました。

 なお、この台風による被害によって、大柏川、国分川、海老川で河川激甚災害対策特別緊急事業が導入されました。

3)平成8年9月21〜22日(台風17号)

 大型で強い台風17号は、強い勢力を保ったまま南海上を北東に進み、22日6時には八丈島に達し、その後、房総半島の東海上を通過して、県下全域で大荒れの状態となりました。総雨量は、天津小湊町清澄と富山町荒川で372oを記録したのをはじめ、県南部では300oを越え、県内全域でも200oを越えました。また、時間最大雨量は、旭市で64o、勝浦市で60oなどを記録しました。

 この台風により各所でがけ崩れが発生し、人的被害は死者6名、負傷者20名におよびました。また、一宮川、黒部川、作田川、南白亀川などで溢水その他が生じ、県下で床上浸水1972戸、床下浸水5108戸となり、公共土木施設の受けた被害も大きく、その額は約253億円となりました。


[前ページ] [次ページ] [目次に戻る]
[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]