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【荒川下流立体地図】
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2010年7月30日、31日、8月1日の3日間、恒例の「第34回水の週間 ウォーターフェア’10 − 水の展示会」が東京・北の丸公園の科学技術館2階の特設コーナーで開催された。
展示会を見て回ったが、確か国交省関東地方整備局の展示だと思ったが、興味深い立体地図があって、思わず見入ってしまった。
それは、こんな風に壁に貼ってあった。「荒川下流立体地図」とあり、垂直方向が30倍になっていて、高低差が誇張され、当然だがどこが低くどこが高いかがよく分かる。
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やや拡大してみると、写真ではわかりにくいが、標高が色分けされていて、荒川の下流域がいかに低地であり、ゼロメートル地帯が広がっているかが分かる。青い部分が、ゼロメートル地帯。海面(東京湾の満潮面)より、2m以上低いところさえある。
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ゼロメートル地帯が広くあるのはよく知られていることで、目新しいわけではないとも思われるが、実際に立体地図で見ると、実感を持って迫ってくるような感じがした。
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【大規模水害時の被害想定】
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もしここで水害が起きたらどうなるのだろう、大変なことになるのではないかと思い、資料を探してみた。 見つかったのは、中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」の「首都圏水没〜 被害軽減のために取るべき対策とは 〜」と題するレポート(平成22年4月2日公表)。その中で、大規模水害時の被害想定が行われている。 |
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(荒川右岸低地氾濫)
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その中に、「荒川右岸低地氾濫による被害想定」がある。 荒川右岸21.0km 地点の東京都東京都北区志茂地先を堤防決壊箇所として想定したケースでは、浸水面積約110km2、浸水深が5m 以上に達する地域も生じる。死者数約2,000人など、人的被害を含む甚大な被害生ずると想定している。
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(利根川首都圏広域氾濫)
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さらに、利根川の氾濫想定もある。荒川よりむしろこちらがメイン。利根川右岸136.0km 地点の埼玉県加須市(旧大利根町)弥兵衛地先で堤防が決壊したと想定。氾濫は徐々に下流に拡大し、国道6号付近には2日後に、さらに下流には3〜4日後に到達する。浸水継続時間が1週間を超えるような地域も相当ある。
浸水面積約530km2、浸水区域内人口約230万人。死者数約2,600人、孤立者数最大約110万人。数字だけでは、その甚大さがイメージしにくいが、もし現実にこのようなことが起こったとしたら、言葉にできないような悲惨な事態になることは明らかであるように思われる。
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【人ごとではない】
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このような事態が現実に生じることはないのだろうか。 おそらく、大水害の確率は相当小さいだろう。しかし、いったん生じたときの被害は、人的被害を含めて甚大だ。確率の小ささに惑わされてはいけないのではないだろうか。10年なかったから、50年なかったから、将来もないと無意識に思いこむことの危険性を、もっと認識する必要がある。
最近、原因は地球温暖化なのかどうかは分からないが、気候が変わってきていることは、実感としても感じられる。雨の降り方も明らかに変わってきている。そのような中で、水害の危険度も時とともに間違いなく増大しつつあるのでははないか。
私の家は近くに大河川がないし、多少の高台にあるので水害の心配はない、だから大丈夫だと思っていたが、首都のような大都市がこんな危険性を抱えていると知って、人ごとではない、もう少し関心を持たねばと再認識させられた。
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(2010年8月作成)
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