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一般の人に広くダムをPRしていただくための
熱烈なサポーターを募集
〜「ダムマイスター制度」の試行について〜

(財)日本ダム協会  中野 朱美

(「国づくりと研修」第129号に掲載されたものを一部修正して転載しました。)
 
■平成22年11月1日、初代ダムマイスターとして18名を任命

 ダムマイスターとは、世間一般の人にはまだまだその存在が遠く感じられているダムについて、その実態や役割、あるいは魅力といったものを伝えるボランティアの称号である。当協会では、平成22年8月中旬からホームページを通じてこの制度の試行を案内し、9月1日から募集を開始した。対象は、ダム技術者やOB、ダムに関連する土木工学系の学識経験者、そして趣味という言葉の範疇をはるかに超えるような知識をお持ちのダムマニアの方々など、それぞれの得意な分野を持ったダムのエキスパートである。募集期間中26名の方からの応募があり、審査の結果18名の方を初代ダムマイスターに任命。その後も申請・審査を経て、平成23年10月末時点で31名のダムマイスターが誕生し、任命書、証明証、が交付されている。


証明書(見本)の表と裏面
■ダムマイスターの活動が地元紙に取り上げられた

 平成22年12月4日から19日まで、神奈川県相模原市内でダムマイスター山口勲さんのダム写真展が催され、地元紙等、複数の媒体で紹介された。「生活支える姿見て」「県内ダム10基の魅力紹介」というのは神奈川新聞の見出しである。まさにダムマイスターの活動の本質だ。ダムを巡り写真を撮るというのは個人の趣味かも知れないが、神奈川県で初のダムマイスターに任命された人というバリューがあって、写真展が記事になったのだ。その中では、県内にあるダムの一つひとつが、それぞれの役割を持っていて、県民の暮らしを支えているということが詳しく伝えられている。そこにダムがあることは誰でも知っているというのは、地元であれば当たり前である。しかし、そのダムがどういう働きをしているのかまでは、余り知られていないのが実情だ。ダムマイスターによる写真展がきっかけになり、身近なダムの役割が伝えられたということを評価したい。


■ダム日本800号記念座談会にダムマイスターが登場

 「ダム日本」が平成23年6月で800号をとなることで、記念特集号に掲載される3本の座談会のひとつとして、企画された座談会に、Dam masterさん、takaneさん、琉さん、萃香さん、山口勲さんのダムマイスター5名が登場。それぞれ「ダム好き、ダムを語る」と題して、専門家とはひと味違ったダムの見方、その魅力を語った。


神奈川新聞に載ったダムマイスター山口勲さんの写真展
■ダム工学会とのコラボレーション

 ダムの魅力を社会に伝えるダム工学会20周年記念として開催された、一般社団法人ダム工学会主催による「with Dam☆Night 2010」では、ダムの専門家とコラボして、ダムマイスターの宮島さん、夜雀さん、Hisaさんが出演。

 夜雀さんは、「これより本則操作を離れる」の創作ビデオを上映し、ハイドログラフから読み取れる操作を解説した。このグラフは、ダムへの流入量と放流量を時系列に示しているもので、数字の見方やその意味を知っている者にすれば、台風や大雨の時などは、洪水を防ぐためにダムが頑張っている様子が手に取るようにわかるものだ。こうしたダムの操作を、一般の人にわかりやすく解説してもらえれば、ダムの放流で洪水被害が拡大したというような誤解が生じることも少なくなるだろう。

 「with Dam☆Night 2011」のテーマは「ダムの底力」で、ダムマイスターとして竹林征三先生、「takane」「ふかちゃん」の三人が登場。それぞれがダムの魅力について語った。
 takaneさんは、2年続けて、会場の様子をネット中継して、ダムの魅力を伝えた。

■今後もダムマイスターに関連するイベントが続々と

 ここまで、主にダムマニアの方の活動をとりあげて紹介したが、これからもまだ様々なイベントに登場する予定だ。その中で大きなものは、「ダムマニアの文化祭」とも呼ばれる「相模湖ダムフェスタ2011 第1回ダムマニア展」である。これは、神奈川県立相模湖交流センターにおいて平成23年11月19日〜25日に渡って開催される一大イベントである。
 内容は、写真や絵画展、ダムカードの展示、講演、シンポジウムと多彩。ダムマイスターも参加することになっている。


第1回ダムマニア展のチラシ
■ダムに絡む話題が多かったこの1年

 平成23年8月14日には、ダムマニア恒例の集まり「ダムナイト5」がお台場の東京カルチャーカルチャーで開催された。今回は、「どうしてこうなった〜ダムのデザイン〜」と題して、マニアならではの熱く深いダム語りが繰り広げられた。このイベントに初登場したミュージシャン・デンシケンセツこと、風味堂のべーシスト・鳥口マサヤ氏は、先ごろダムをコンセプトにしたCDアルバムを発売した。アルバムには公募で選ばれた歌うダムガールも参加。今やダムが音楽で表現される時代となっている。

 ダムについては、「脱ダム宣言」以降、「自然破壊の元凶」「無駄な公共事業の象徴」というようなレッテルを貼られ何かと悪者にされがちであるが、一つひとつのダムがどんな目的でどういう役割を担っているのかがもっと伝われば、少しずつ世の中のイメージも変わってくるものと思われる。ダムの実態を知っていないと、特定の方向に偏ったものの見方を簡単に信じてしまいがちである。今後のダムマイスターの活動に期待していきたい。


11曲集録のデンシケンセツさんのCDアルバム(裏表紙)
(2012年1月作成)
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