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7 ダムをめぐる社会情勢の変化

 インターネットの検索エンジン、例えばGoogleを使って「ダム反対運動」を検索すると、竣功済みのもの(古くは松原・下筌ダム)も含め30以上のダムが反対運動の対象になっています。その内容、程度は様々ですが、今やダムと反対運動とは不即不離(?)と言うと言い過ぎでしょうか。近年の反対運動はダム地権者限定ではなく、近隣自治体の住民、最終的には全国の人々の関心を集めてしまうことも稀ではありません。地元は(ある程度)納得しているのに、着工出来ないというケースもあります。マスメディアの取り上げ方、インターネットの普及による運動の参入障壁低下がこうした事態の一因でしょう。1994〜1995年にかけ大きく盛り上がった長良川河口堰のケースがその典型であり、それが世間に定着し、2000年以降の幾つかの知事選でもダム問題が大きな争点になりました。

 ダム事業に限らず事業を推進する立場の官庁は、「従来も今後も、環境に配慮し、真に必要な事業しか行っていない」というのが基本的な立場ですが、個別事業についての対応の検討や或いは事業手順の見直しをしています。直轄でも補助事業でも事業を止めた例は既に幾つかあり、特に補助事業のケースでの補助金については、行政機関が行う政策の評価に関する法律の趣旨に沿った適正な手続きを経て実施された公共事業再評価の結果、事業主体である地方公共団体が事業を中断した場合には、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に規定する義務違反がない限り、補助金等の返還を求めることがないこととなりました。

 最近、ダムに反対する余り、どこか水源地域のことを等閑視する傾向が伺えなくはないのが気になります。治水・利水両面で特定の河川の特定のダムを造らずに森林機能だけで完全に代替することは不可能とされています。それ以上に、ダムがあるとないとに拘わらず、過疎化・高齢化による集落機能の崩壊によって、今や水源地域の森林機能の維持そのものが危うい状況にあります。皆様にも引き続き関心を持って頂きたいと思います。


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