◇21世紀の豊かさの概念とは何か
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地域づくりは、結局のところ地域の豊かさの実現を目指すものだから、豊かさの概念を整理しておくことは重要である。
日本語で「豊かさ」というが、英語では、「リッチ」と「ウェルスィ」という二つの言葉がこれに相当する。これらは、日本語に訳せば「豊かさ」になるだろうが、英語では意味合いが異なる。 「リッチ」は、場所や財に対する評価を金銭で表現したもので、金銭的豊かさである。一方、「ウェルスィ」は、これとは全く異なり、快適な充実感、生きる喜びの実現といった意味での豊かさである。
経済学では、豊かさについて三つのアプローチがある。 一つは、「富裕アプローチ」で、物質的財貨への支配力を豊かさととらえる考え方である。 二つ目は、「効用アプローチ」である。人々は財・サービスを消費することによって効用を得ることになり、その効用の大きさで豊かさを図ろうとする考え方で、欲求充足の極大化を豊かさととらえる立場である。 三つ目は、「潜在能力アプローチ」である。これは、インド生まれで、ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センが創出した概念で、人々の潜在能力を活かすための選択の自由、選択のための機会と条件の整備、潜在能力の実現といった視点から豊かさを評価しようとする考え方である。現在最も進んだ考え方だといえよう。
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