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◇これまでの地域づくりとこれからの地域づくり

《これまでの地域づくり・・・外来型開発》 
 
 これまでの地域づくりは、「外来型開発」とも呼ぶべきものである。地域外から工業などを誘致することによって、地域の発展を図ろうとする考え方である。

 このような考え方に沿って、日本各地で工業団地の開発などが行われてきたが、「理念と現実の食い違い」も生じることになり、公害の発生、先行的産業基盤の整備による財政危機、地域産業との連携の欠如といった弊害も顕在化した。
 地域格差の拡大、過密過疎の進行といった問題は、これによって解決されたわけではなく、新しい開発方式が模索された。「一村一品運動」や各地で地域産業おこしの試みが行われることにもなった。
《これからの地域づくり・・・内発的発展論》 

 これからの地域づくりは、「内発的発展」を重視すべきである。

 その際、基礎とすべき二つの考え方が重要である。
 一つは、「近代化論の弱点の克服」である。欧米の工業化をモデルとした画一的近代化論ではなく、地域の歴史、文化、生態系などの地域特性を尊重した多様な発展を認めることが必要である。このような考え方は、1970年代からユネスコなどで、途上国の経済開発に関して、議論され、発展してきた。
 次に、「人間発達の理論」である。地域の再生とは、失われつつある人間らしい暮らしを、地域に住む人間の立場に立って取り戻すことである。
 ここで人間らしさとは、地域の人々が対話、交流、協同などを通じて、その潜在能力が引き出され、労働・生活・情報処理・統治などの人間的諸能力を向上させる、そんな姿を指している。アマルティア・センの潜在能力アプローチとも通じるものだ。

 以上を踏まえ、「内発的発展論」を構成する基本の考えは、「地域ごとの多様な発展の承認」「地域の固有性の認識と承認」「潜在能力の発揮に基礎を置く人間の発達」「地域や個人の自立性の重視」といったことである。

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