第4回 (財)日本ダム協会ホームページ 写真コンテスト
"D-shot contest"
入賞作品および選評


各委員の選評

第4回D-shotコンテストの選考を、去る2月19日に日本ダム協会にて行いました。 その結果、今回は下記の作品が選ばれました。
各作品の選評は、西山芳一審査委員長によるものです。

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最優秀賞
「撮ル、撮ラレル。」
栃木県・川治ダム
撮影者:犹泱
<選評>
不安を感じさせる斜めのアングルは、 アーチの巨大さだけでなくダムが背負っている水の圧倒的な量、そして内包する危機感をも充分に表現しています。 見学会の1シーンを捉えたのでしょう、前に出られずに後ろから撮らざるを得なかった作者のようですが、 仲間やダムに対する優しさ・愛着が垣間見えてきます。 不安定な中にも愛を感じさせる秀逸な作品といえます。





「ダム本体」部門

優秀賞
「木地山ダム」
山形県・木地山ダム
撮影者:中村ハヤト
<選評>
質感表現、画面構成ともに抜群です。 欲を言えば縦位置でもう少し手前の水や岩も見たかったですね。 でも、じっと見ているだけでもマイナスイオンで癒されるような作品です。

入選入選
「放水美」
岐阜県・久瀬ダム
「真夏の午後のダム」
滋賀県・姉川ダム
撮影者:声姫 撮影者:加賀美喜久
<選評>
放水に落とした立木の影が一服の清涼感を漂わせます。 晴天ですのでシャッタースピードで流水を止めることとコンクリートの質感をもう少し見せてくれれば満点だったかも。
<選評>
カップルの配置で大きさや高さがうまく表現され、画面構成もお手本のような作品です。 計算されつくした画面は緻密で隙がなく、まるでプロが撮ったポスターのようですね。

入選入選
「冬の佐久間ダム」
静岡県・佐久間ダム
「活動中」
群馬県・上野ダム
撮影者:吉江陽子 撮影者:ぽこ
<選評>
タイトルもアングルも不可解なのですが、新鮮に見える作品です。 決まりきったアングルの飽食に嫌気が差してきた審査員たちにもたらされた一服のカンフル剤だったのかも。
<選評>
荒々しいコンクリートのダム肌と流れ落ちる水との質感の違いが面白い。 位置がとれなかったのか中途半端に不安定なアングルになってしまったのがひじょうに惜しまれます。

入選
「曲線美」
奈良県・池原ダム
撮影者:nolikeother
<選評>
太陽光のライティングではなく背景の山々などの濃淡が、空気感や立体感を充分に感じさせます。 後方のゲートの存在も湛える水の圧倒的なヴォリュームを表現していますね。





「ダム湖」部門

優秀賞
「早春のボート遊び」
群馬県・桐生川ダム
撮影者:石川照之
<選評>
題名はともかく、まるで現地に立ってボーっと眺めているような錯覚に陥るこの何気なさと空気感に惹かれます。 作者の年齢は存じ上げませんが、大人の作品といえるでしょう。

入選入選
「水鏡2」
福島県・田子倉ダム
「湖上の石橋」
奈良県・大迫ダム
撮影者:鈴木成夫 撮影者:うどんof9
<選評>
見事な写り込みですが、残念なのは画角が広すぎます。レンズを換えて再挑戦してもこの条件は難しそうですね。 とりあえず6割がたの面積にトリミングしてみてはいかがかな。
<選評>
真夏の光に、麦藁帽子の洟垂れ小僧たちが虫取り網を肩に橋を駆け抜けていく姿を思い起こさせるような時空を超えた素敵な作品。 アングル的にはもう一息、がんばりましょう。





「工事中のダム」部門

優秀賞
「散水養生」
福井県・浄土寺川ダム
撮影者:Hisa
<選評>
コンクリート打設中のダムはついつい全景を捉えがちですが、うまく一部そして一瞬を切り取っています。 ダムを愛しむ工事関係者の親心的な眼差しにも見えてくるのですが・・・。





「ダムに親しむ」部門

優秀賞
「雨ニモ負ケズ」
静岡県・畑薙第二ダム
撮影者:ぽこ
<選評>
題名にあるような努力を買いましょう。 崖を下り、沢を上ってようやくダムに出会えたという感激が伝わります。 しかし、降雨時のダム下流は、放水に十分な注意が必要ですよ。

入選
「第二の主役」
静岡県・井川ダム
撮影者:古川美鈴
<選評>
堤体下流面と湖面とを一緒に撮影できる落ち着いたアングルを持つダムは少ない。 まして「第二の主役」を持つダムはもっと少ない。よくこのアングルを探しましたね。敬服。





その他

優秀賞
「人工の滝」
岐阜県・丸山ダム
撮影者:古川美鈴
<選評>
放水、橋、木立それぞれの距離を縮めた望遠レンズの特性をうまく使った作品です。 軽トラックの位置も絶妙。時間と空間の凝縮という写真表現本来のうまさを見せています。

入選入選
「蝉の顔に見えませんか?」
高知県・大渡ダム
「電霊降臨」
静岡県・井川ダム
撮影者:Oh!Doだ! 撮影者:夜雀
<選評>
蝉の顔に見立てるのは難しいけれど、切り取り方が新鮮。逆光の雰囲気も良いのですが右下のフレアーが残念。 三脚と帽子でも使い、レンズに入る太陽光線のカットを忘れずに。
<選評>
中空洞ダムの内部を撮った作品。真っ暗なのでアングルの決定が難しく、長時間露光なので三脚も必需。 皆もダムの撮影は外ばかりとは限らないので、いつも三脚はお忘れなく。




全体評



審査委員プロフィール
西山芳一 (土木写真家)

“万遍なく”という作為は一切なしに選考しているうちに受賞作品が地域的、時間的に偏ってしまった感がある。 高度成長期に竣工した本州のダムが多いようだ。 北海道や九州の物件、戦前竣工の土木遺産や竣工直後の新しいダムなどの魅力的ダムは魅力的写真作品とならずに次々と落選していった。 その中には私が個人的な思い入れをしたダムの写真も数多く、そのような作品をふるい落とすには心を鬼にせねばならなかった。 ただ、一度でも目を向け、カメラを向けていただいた応募者諸氏にはダムに代わって多大なる感謝をしたい。 これに懲りずに再チャレンジも是非ともお願いしたい。 来年は工事中も含め、“万遍ない”すばらしいダムとそのすばらしい作品にもっともっと多く出会えることを期待して止まない。
佐々木 葉 (早稲田大学理工学部社会環境工学科教授)

写真というものは、現物を直接見るよりも、そのものの特質や本質をよく伝えることがあります。 逆にいえばそのような写真を撮ることこそ、写真家の目的なのかもしれません。
さて今回初めて写真コンテストの審査をさせていただきました。しかも対象はダムです。 仕事柄一般の方々よりはダムを訪れる機会も多いとは思っていましたが、 ここに応募された方々のダムに対する愛情は並々ならぬもので、そのエネルギーには脱帽しました。それは多くの写真が、ダムとはなにかというよりも、 ダムにこだわる撮影者の存在ということを、より強く伝えているように思えたからです。 ダムの写真をとることはとても楽しいんだよ、というメッセージ でもあります。
そうしたメッセージからより多くの人々にダムへの興味や関心が広がり、 さらにダムの多面的な存在を世に広く伝えることになれば、 ダム文化とでも言うべきものが生まれるのではないかという期待を持ちました。
安河内 孝 (清水建設鞄y木技術本部ダム技術部担当部長)

審査では当然のことながら応募作全作品、すなわち262作品に目を通すことにな るわけであるが、一度にこれほど多くの他人が撮ったダムの写真を見たのは初め ての経験であった。人間と同じようにダムにも個性があり、小さくてひっそりと したダム、ゴツゴツしたダム、覆いかぶさってくるダム、大地を踏ん張っている ダムと様々なダムを見て、久々に面白いなと思った。また、われわれ土木屋の大 先輩が造られたダム、それから近年造られたダムを並べて見ると、ダムにもその 時代時代の反映が見られ、それぞれに個性的で感激した。ダムには、簡単に撮影 することができるものもあれば、撮影に非常に困難を要するものもある。何度も 何度も通って撮影したのではと思われる作品や、眺望のきく場所を求め大変高い場 所に苦労して登り撮影したのだろうと思われる作品も見られた。また、2度と同 じ作品の撮影は不可能だと思われる作品もあった。
他のジャンルに比べ、施工中の写真が少なかったのがいささか残念である。次回 は是非、直接ダム建設に携わっている若い方々にも投稿していただきたい。
宮島 咲 (インターネットサイト「ダムマニア」運営者)

ダムの撮影は、地形の制約上、撮影ポイントが限られてしまう傾向がある。 誰が撮影しても、同じ構図になりやすい。 しかし、撮影の季節や時間、構図のとりかたなどの工夫で、同じポジションからの撮影でも、全く異なった表情になる。 また、川を遡上したり、道無き道を進み、密かな撮影ポイントを見つける事も大切だろう。 今回の作品は、この様な撮影者の努力を感じ取る事ができるものが多かった。 私も個人的にダムを撮り歩いているが、各作品の、思いもつかないような大胆な構図に驚かされ、とても参考になった。
森 日出夫 (飛島建設鞄y木本部ダムグループ 課長)

ここ数年、当写真コンテストの選考に携わっているが、年々応募件数が増え、かつ撮影技術のレベルアップも感じられ、うれしい限りである。 また、それにもまして変わってきているなと思われるのが、ダムに対する愛着がにじみ出ている作品が多くなってきているということだ。 良い撮影とは、ただ偶然に頼るのではなく、撮影対象を選び、その対象が魅力的に見える「時」と「場所」を選定し、 ダムの個性をいかに意図して切取るかという計算のもとになされるものであるが、ダム技術者である自分は、 さらに、そこに作品に対する思い入れが見えるものに感動させられ、今回票を投じた。
次回もこのような作品に数多く出会えると思うと非常に楽しみである。

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