第6回 (財)日本ダム協会ホームページ 写真コンテスト
"D-shot contest"
入賞作品および選評


各委員の選評

第6回D-shotコンテストは、279点の作品応募がありました。これらの作品を対象に最優秀賞、優秀賞、入選作品の選考を、平成21年2月23日に日本ダム協会にて行いました。
その結果、今回は下記の作品が選ばれました。
なお、今回は残念ながら「最優秀賞」該当作品はございませんでした。
各作品の選評は、西山芳一審査委員長によるものです。

写真をクリックすると大きな写真を見ることが出来ます



「ダム本体」部門

優秀賞
「雪解けの放流」
岡山県・苫田ダム
撮影者:cantam
<選評>
  照明の赤い光と減勢工のヌメッとした水の流れが、無機的な表現になりがちなダムを有機的に見せています。惜しむらくは左右対称であるセンターに位置取りをできなかったことでしょうか。


優秀賞
「壁」
静岡県・佐久間ダム
撮影者:あつダム宣言!
<選評>
  大きくプリントしたら素晴らしいでしょうね。まるでモノクロの柴田敏雄氏の世界のようにも見えます。よく下まで降りましたね。位置取り、アングルも切り取り方も絶妙です。


入選入選
「白龍」
石川県・石徹白ダム
「千苅ダムの放流」
兵庫県・千苅ダム
撮影者:阿部 繁 撮影者:ふかちゃん
<選評>
  雨止みに突然、素晴らしい景色と遭遇することがあります。背後の山と湖面の霧がなお一層のしっとり感を演出しています。雨の日こそダムの撮影日和といえそうな作品です。
<選評>
  大雨の後の快晴ですね。私も放流狙いで大阪ロケからすっとんで行ったことがあります。シャッタースピードをもっとスローに変えて、水を流して撮るのも面白いですよ。


入選
「初夏の手取川」
石川県・手取川第三ダム
撮影者:夜雀
<選評>
  何げない風景の中にダムが佇んでいる不思議な魅力のある作品です。せっかくのローアングルですので、画面上の山より下の稲をもっと入れたほうがよかったかもしれませんね。




「ダム湖」部門

入選入選
「明日への桟橋」
東京都・小河内ダム
「湖面の彩り」
三重県・持越池ダム
撮影者:櫻井幸夫 撮影者:ふかちゃん
<選評>
  果敢に逆光狙いをしたのは良かったのですが、フレアーが入ってしまったのと構図がいまひとつです。三脚を使えば、レンズに入る光線のカットも画面倒れも解決できますよ。
<選評>
  フィルターの効果でしょうか、水中の鯉が良く写っていて絵画的な不思議な作品に仕上がっています。もやっとした露出のオーバーさも功を奏したようです。



「工事中のダム」部門

入選
「壁」
福島県・滝川ダム
撮影者:へいはち
<選評>
  堤体に張り付いたキャットウォークに小さく人の姿が見え、ダムの大きさを表現しています。入れ込みが中途半端ですので、画面下と右はトリミングしたほうが良いでしょう。



「ダムに親しむ」部門

優秀賞
「はれの日」
香川県・豊稔池ダム
撮影者:池田健治
<選評>
  若干のにじみと影のない柔らかい光が、まるで19世紀のフランス絵画を思わせます。幸せでのんびりとした時間を一瞬のもとにピタッと止めた、これぞ写真という作品です。


入選
「バルコニーから」
岐阜県・小里川ダム
撮影者:古川美鈴
<選評>
  このダムの個性、特徴をうまく切り取って表現した作品です。立体感、奥行き、質感、明暗部のバランス、どれも申し分ありません。欲を言えば人の表情が分かればよかったのですが。



その他

優秀賞
「サーカステントの中」
岐阜県・横山ダム
撮影者:ふかちゃん
<選評>
  中空洞やバットレスダムの内部を狙った作品が数点ありましたが、この作品が逸品でした。不思議な空間ですのでいろいろな表現ができるはずです、もっともっと狙ってみてください。

入選入選
「水晶宮より奈落を望むに似て」
奈良県・大滝ダム
「機能美」
静岡県・佐久間ダム
撮影者:夜雀 撮影者:萃香
<選評>
  取水塔の内部を上から覗き込んだようですね。高所恐怖症の方にはこの写真を見るだけでも足がすくむような迫力が出ています。
<選評>
  そのままでこのダムのパンフレットや書籍の表紙になりそうな作品。題からすると作者がそれを意識したかどうかは分かりませんが、人はいろいろな写真の見方をするものです。



全体評


審査委員プロフィール
西山芳一 (土木写真家)

  今回は残念ながら最優秀賞と2部門での優秀賞に該当する作品が見当たりませんでした。写真で優れ、秀でるということは難しく、見る者にある程度の驚きと感動とを与えねばなりません。それが単になかったということです。狙いは素晴らしいのですが、写真本来の質に達していない惜しい作品や、前回までに受賞したものの焼き直し作品が多くみられたのは残念でなりません。ただ、徐々にではありますが全体として確実に質が上がっているのは事実であり、表現も多彩になってきました。そして、いままでの受賞作品を参考に写真を撮ることも無論必要ですが、柳の下に2匹のドジョウはいませんので、提出の際にもう一度、充分吟味をしていただきたいと思います。
  次回は是非とも驚きと感動とを与えてくれる多くの作品に出会えることを期待して止みません。
佐々木 葉 (早稲田大学理工学部社会環境工学科教授)

このところ、テクノスケープがどんどんと市民権を獲得しつつあるように思われる。
ダム、ジャンクション、水門、工場などなど。非日常的と思われるような構造物の魅力を多くの人が発見し、写真撮影という形で対象物との関係性を構築していただくことは、 土木の分野にいるものとして嬉しい。今回のコンテストもそうした人たちの情報交換の場という役割も果たしているのかと思う。 さて、応募作品には、対象に対する並々ならぬ愛情を感じさせる作品から、ダム初心者(?)の素直な感動が伝わってくるものまでさまざまであった。 写真としてのできばえの優劣については、コンテストである以上、一定の判断をした。しかし個人的には、応募者の方々の最初のダムへの感動が、より多くのダムへの興味、 さらには、ダムという装置が支える人々の暮らしや環境のあり方といっ た、社会的な関心に広がっていただけると嬉しいと思った。   
安河内 孝 (清水建設鞄y木技術本部ダム技術部担当部長)

 応募数279点を審査して感じたことは、前回よりも応募数が20点少ないが明らかに撮影技術のレベルアップが感じられたことです。
  何気なく撮影されている作品も見られますが、ほとんどの作品は時間をかけて、そのダムが最も素晴らしい状態になるのを待って撮影されているように感じられます。恐らく何度も、そのダムに通われたのでしょう。
  ただし、過去の作品に似通っている構図が多いように感じられました。また、同一人物の撮影と判る作品も多数ありました。最初は、過去の作品から勉強するとこも重要と思いますが、是非自分の個性を出して作品を作って頂きたいと思います。
  今回入選しなかった作品の中には、あと一歩と言った作品が多数あります。大きく撮ったり、また、一部分を切り取ったりと勉強してください。
宮島 咲 (ウェブサイト「ダムマニア」管理人)

 今回のコンテストは、ほのぼのとした雰囲気を表現するものから、キッチリ締まったダムのかっこよさを表現するものまで、様々なタイプの作品が投稿された。これら、タイプの異なった作品を同じ土俵で評価するのは、あまりに忍びなかった。

  構図も、一部を大きくズームアップした大胆なものから、ダム全体を撮影した資料写真的なものまで多種多様だった。資料写真といっても、光の差し具合、空の様子、放流の様子など、タイミングをきっちり計って撮影したという、風景写真のような資料写真という感じで、すばらしい出来映えのものが多かった。

  ただ、残念なこともあった。

  とても良い写真なのにゴーストが入っていたり、直線を表現したアングルなのに水平が取れていなかったりなど、「もう一歩!」と思わせる作品があったことだ。この欠点さえ無ければ、ワンランク上の土俵に上がれたのにと思うと、残念で仕方がない。
森 日出夫 (ダムネット運営委員会委員長)

  審査員という立場を忘れて、今回もまた力作の数々に楽しませて頂きました。 一見無骨な土木構造物がいろいろな表情に切り取られて行く様に、改めて写真の 面白さを感じたしだいです。
 選考にはいつもながら頭を悩ましたのですが、コンテストの回数が重ねられて いくと、やはりオリジナリティも付加されていきます。過去の作品の研究も必要 かと思います。またダム技術者としては、施工中の作品も数多く見てみたいと思 います。今までとはちがったダムの魅力が引き出されるかもしれません。実際に 現場で働いている方の応募も期待します。

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