各委員の全体評 |
第13回D-shotコンテストは、282点の作品応募がありました。これらの作品を対象に最優秀賞、優秀賞、入選作品の選考を、平成28年2月25日に日本ダム協会にて行いました。 その結果、今回は下記の作品が選ばれました。 |
写真展開催 |
入賞作品19点を、浦山ダム資料館「うららぴあ」2階にて4月17日〜8月31日の間、展示します。 4月17日(日)にはオープニングイベントも開催します。 |
写真をクリックすると大きな写真を見ることが出来ます |
優秀賞 |
「着々と」 広島県・庄原ダム |
撮影者:小南宣広 |
<選評・森 日出夫> まさしくダム工事の最盛期を切り取った一枚です。夜間、大型クローラクレーンでコンクリートを打設している様子が生き生きと写し取られています。周辺の暗闇の中で、打設現場だけが煌々と照らされ、バケットから放出されるコンクリートを男たちが待ち構える様は、見る者に現場の緊張感を伝えます。 |
優秀賞 |
「深まる紅葉進む工事」 群馬県・八ッ場ダム |
撮影者:かみさと |
<選評・森 日出夫> 深まる秋の深夜、工事現場だけがボワッと浮かび上がる幻想的な写真です。大型ダム工事である八ッ場ダムでは、堤体基礎掘削、仮設備設置工事を昼夜通して実施しています。この暗闇の中で、おそらく100人以上の人が広範囲に分かれて働いているのでしょう。夜間作業のこの写真から、ダム現場の広さが改めて実感できました。 |
審査委員プロフィール |
西山 芳一 (土木写真家) 今回は数こそさほど増えてはいませんが、ダムをいろいろな見方をした作品が多くなったなという印象です。特に応募数の多い「本体」部門では、選考のために多数の作品を机に並べた時のパット見、全体として見ると色といい形といい「今年は期待できる!」と喜びましたが、いざ一枚一枚を丁寧に見ると「これっ!」という群を抜いた作品がないのです。全体として一応に技術のレベルが上がってきたことの現れかも知れません。狙いの方向性は間違っていないと思います。技術的にももう少し、シャッターチャンスへの粘りももう少しですので、次回ももう少し頑張ってみてください。 |
窪田 陽一 (埼玉大学大学院理工学研究科教授) 期待に違わず、今回も多数の力作が集まりましたが、審査員による投票が割れそうな場面もあり、作風が多様化したかとも思いました。常連の作品だけでなく、新規に応募された佳作も多数目にとまりました。また、今回初めて設けられテーマ部門では「風」という御題が掲げられ、審査員一同期待を寄せつつ、時間をかけて審査に当たりました。ダムの周囲を取り巻く大気の流れは、その力で動かされるものを媒介として見えるのであり、不動の被写体を撮る時とは一味も二味も異なる感性と技量が求められると思います。他の部門でも着眼点が似ている作品がありましたが、従来の応募作品には見られないような苦心作が生まれる契機となったことは確かなようです。 |
宮島 咲 (ダムマニア&ダムライター) 前回の応募総数231作品を上回り、今回は282作品が寄せられた第13回日本ダム協会ホームページ写真コンテスト。ここ数年は応募数が横ばいでしたが、今回は前回の2割増しである50作品の増量となりました。その理由を想像するに、近年、ソーシャルネットワークなどを通じたダム団体がいくつも誕生したり、ダムカードを通じてダムファンになった人々が多くなったことだと考えています。これは大変喜ばしく、この現象が今後も続いてゆくことを期待してやみません。 さて、今回から登場したテーマ部門。今回の御題は「風」でした。1年ほど前、審査委員でテーマを決めたのですが、「風」というテーマは難しすぎるのではないかという意見が多数でました。しかしながら、蓋を開けてみると、テーマ部門の応募総数は29作品。この数は、ダム本体部門、ダム湖部門に続き3番目に多い数です。そして、寄せられた作品をひとつひとつ拝見してゆくと、どれもしっかりと風を感じる作品ではないですか!ダム湖のさざ波の写真や、風になびく放流水の写真、そして、堤体の前を泳ぐ鯉のぼりの写真など、色々な表現で風を感じることができました。これらの作品を拝見することができ、とてもうれしく思いました。 また、今回はいつも入選、入賞するかたの作品が選ばれなかったことも大きな変化でした。その理由は定かではありませんが、逆に言えば、他のかたたちの作品レベルが向上したということにつながるかと思います。 来年もテーマ部門は存続すると思いますので、ぜひご応募いただければ幸いです。 |
中川 ちひろ (編集者) 今回は驚きました。全体的にレベルが格段に上がっており、純粋な写真として楽しめる作品が多くありました。ダムと聞かなかったら、「日本の名景?」と思ったかもしれませんね。色彩、バランス、切り取り方など、よく画づくりが考えられていて、皆さん丁寧な撮影をしているのだなと感じました。いっぽうで、偶然カメラにおさめられた写真は、見る人に素直な感動を与えます。「あ、いいな」と思った瞬間に切り取られたカットはやはり伝わります。考えて撮った写真と偶然撮れたであろうもの。そのどちらを取っても今回は、魅力的な写真が多く、審査会の様子はまるで風景写真の展覧会のようでした。楽しませていただきありがとうございました! |
森 日出夫 (ダムネット運営委員会委員長) ダム技術者の代表として参加している者としましては、やはりダムの雄大さ、機能美、自然に溶け込んだ美しさ、孤高感のある佇まい等のストレートな魅力を全面に出した作品を期待してしまいます。今回の作品の中にも、いくつか心躍らされるものがありまして、楽しい選考会となりました。今現在、施工中のダムは全国で30箇所以上あります。「工事中のダム」部門でも、全体を捉えるか、部分を切り取るか、人を中心に据えるか等、切り口を変えれば多くのバリエーションがあります。現場見学も兼ねて、どんどん作品を提供して頂ければ、このコンテストもさらに活気付くと思いますので、ご参加の程、よろしくお願いします。 |