ダム建設か否か、計画が定まらず |
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ダム計画は、下流の土地改良事業でダムの開発水を使うことを前提としていたが、平成15年5月の福岡高裁判決を受け、事業主体の農水省と熊本県は新利水計画を検討、その結果、平成17年1月、農水省はダムの水を使用しない方針を国交省に伝え、国交省はダムの利用目的から農業用水を除外し、治水、発電に絞って、ダム本体工事の早期着工を図る方針に。その後、熊本県の蒲島知事は2008年9月、「現行計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきだ」として反対を表明、さらに、2008年10月には、蒲島知事と金子国交相の会談で、ダムによらない球磨川流域の治水策を探る協議の場設置に合意。
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建設に賛否両論 |
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ダム建設については、地元自治体、住民などに早期建設を求める意見がある一方で、市民団体等から「緑のダム」や「河床掘削」、「遊水池」等の代替案の提案などの反対意見がある。国交省は、事業の分かりやすい説明責任を果たすため、「住民討論集会」や「地区説明会」などを開催している。
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漁業権の収用も |
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任意での取得が困難となった土地と併せ、漁業権の収用手続きが進んでいた。2000年12月の事業認定を経て、国交省は2001年12月、熊本県収用委員会に収用裁決申請。収用委員会で審理中であったが、下流の土地改良事業(利水事業)の計画が見直し中で、収用委員会は、2005年8月、国交省に対し「審理を進められない状況が長期化しているのは、公益事業の円滑な推進を図ることを目的とする土地収用法の趣旨に照らし問題があり、土地収用法を活用して事業の円滑な推進を図ろうとするならば、裁決申請を一旦取り下げてはどうか。」との取下勧告を行った。9月、国交省は関係機関と調整の上、申請を取り下げた。
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代替地の造成が完了 |
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ダム建設による移転住民の移転先として、五木村の中心部が移転する「頭地代替地」の宅地部分が完成し、役場など公共施設をはじめ家屋移転もほぼ完了した。平成17年8月現在、中学校、高校の移転予定地と農地の代替地の前面盛土を施工中。
[写真]平成16年10月撮影
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付替道路などの建設が進む |
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水没住民の生活再建のため頭地大橋や付替道路の建設を促進。また、地元より開通が待ち望まれていた頭地代替地から上流の付替道路が平成17年8月4日に供用開始。開通により朝夕の通勤・通学や観光面に大きな貢献が期待される。
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クマタカの生息環境を保全 |
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クマタカの生息環境保全に取り組む。計画していた原石山の周辺で、クマタカの生息が確認されたため、技術的な検討を行い原石山を取り止めた。また、計画していた付替道路の周辺で、クマタカの生息が確認されたため、付替道路のルートを変更。これにより、巣からの距離が離れ、新工法(竹割工法)の採用で自然地形の改変面積も約60%減少。
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住民討論集会を開催 |
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ダム事業について、説明責任を果たす一環として、県民参加のもと国土交通省、ダム事業に意見のある団体、学者、県民などが相集い、オープンかつ公正に議論することを目的に、住民討論集会が開催されている。平成13年12月の第1回以来、平成15年12月の第9回まで、毎回、治水、環境などのテーマを決めて討論、延べ開催時間は約57時間、延べ参加人数は約1万2580人に上る。第1回は熊本県の主催だったが、2回以降は国交省主催。
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五木村村民大会開催される |
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2005年9月28日、「五木村村民大会」が4年ぶりに開催された。9月15日に国交省が収用裁決申請を取り下げたの受けて、国、県にダム建設と基盤整備事業など生活再建対策の実現を改めて訴える目的で、地元五木村の村民や離村者約250名が参加。「ダム本体早期着工」と「生活再建対策の早期実現」等を求める大会決議を満場一致で採択。
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