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ダム事典[用語・解説](ゲート)
ゲート (げーと)
洪水吐
などのダムから水を放流するための設備に設置される、開閉や流量調節をするための装置です。
設置場所により
、次のような種類があります。
■クレストゲート
ダムの堤頂部に設置されるゲートです。クレストとはダムの堤頂部のことです。一般に、異常洪水時にダム
天端
からの
越流
を防ぐための非常用ゲートとして使用されます。
クレストゲートから放流−早明浦ダム(撮影:灰エース)
■コンジットゲート
放流管ゲートのこと。
堤体
中の下部に設置されます。
洪水調節
用の大容量の高圧放流設備として設けられるゲートを指すことが多いようです。クレストゲートとコンジットゲートの両方を備えたダムがよく見られ、それぞれ
非常用洪水吐
、
常用洪水吐
として使われます。
■オリフィスゲート
比較的浅い位置(堤体の上下の中間)に設置されるゲート。堤体の下部にコンジットゲート、中段にオリフィスゲートといった組み合わせがよく見られます。
上部にクレストゲート、下部にコンジットゲート−弥栄ダム(撮影:さんちゃん)
弥栄ダム(撮影:さんちゃん)
玉川ダム(撮影:灰エース)
クレストゲート、コンジットゲート、オリフィスゲート−玉川ダム
一方、ゲートは、
その構造により
、様々な形式のものがあります。ダムで使用されている代表的なゲートとしては次のようなものがあります。
■ローラゲート
開閉用ゲートの板にローラが付いた構造で、上下に開閉するゲート。ゲートに高い水圧がかかっても容易に開閉が可能です。ダムの
洪水吐
など、高い水圧がかかる箇所では、ローラゲートかラジアルゲートが一般的です。
クレストにローラゲート−刀利ダム(撮影:Dam master)
クレストに5門のローラゲート−佐久間ダム(撮影:Dam master)
上から−佐久間ダム(撮影:さんちゃん)
■ラジアルゲート
テンターゲートともいいます。
表面が円弧状で、その曲線の中心を軸として回転することによって開閉する構造のゲート。ダムの洪水吐など、高い水圧がかかる箇所では、ローラゲートかラジアルゲートが一般的です。
最近、引張りラジアルゲートと呼ばれるタイプのゲートが開発されました。従来のラジアルゲートにかかる荷重は、圧縮荷重であるのに対し、引張りラジアルゲートにかかる荷重は引張り荷重となるため、圧縮には弱く引張りに強いという鋼材の特性を生かした構造だということです。(→
日本のダム:羽地
)(→
日本のダム:苫田
)
17門のラジアルゲートが並ぶ−小牧ダム(撮影:加藤敦)
寒河江ダム
徳山ダム
徳山ダム
引っ張りラジアルゲート−苫田ダム(撮影:さんちゃん)
引っ張りラジアルゲート(設置前)−灰塚ダム
引っ張りラジアルゲート(設置後)−灰塚ダム
(参考)テンターゲートとラジアルゲート
ラジアルゲートは、古くはテンターゲートと呼ばれていたようです。日本でも、昭和40年代はじめまで、テンターゲートが学術用語として通用していました。その後、国際大ダム会議の用語集で、この形式のゲートが radial gate と記載されたため、国内でもラジアルゲートと呼ぶようになりました。テンターゲートとラジアルゲートは同じ形式のゲートです。
(参考)「ゲート総覧」によるゲート形式
ゲート、バルブの類には、その構造によりきわめて多くの種類があります。「ゲート総覧」(社団法人ダム・堰施設技術協会発行)では、ゲート・バルブを以下のような形式に分類しています。
・ローラゲート
・高圧ローラゲート
・シェル構造ローラゲート
・スラップ付きローラゲート
・多重式ローラゲート
・2段式ローラゲート
・キャタピラゲート
・リングシールゲート
・ラジアルゲート
・高圧ラジアルゲート
・セクタゲート
・ドラムゲート
・てん倒れゲート
・バイザゲート
・マイタゲート
・スライドゲート
・高圧スライドゲート
・ジェットフローゲート
・リングホロワゲート
・角落とし
・ローリングゲート
・シリンダゲート
・ホロージェットバルブ
・コーンバルブ
・ゲートバルブ
・バタフライバルブ
・ロータリーバルブ
・コーン形スリーブバルブ
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