「事業着手から半世紀、八ッ場ダム」「今後30年は大戸川ダムは不要」 こんなことが言われますが、ダムの事業は数十年単位で取り組む仕事なのでしょうか?
八ッ場ダム(撮影:だい)
大戸川ダム(撮影:安部塁) ダムの役割は、100年、200年確率の豪雨から国民の生命や財産を守ることにあるはずです。わずか、数十年単位の話ではないのです。豪雨は、自然のなせる業です。 「200年確率の豪雨」は、200年後に起こるという意味ではなく、今晩襲って来ても不思議ではないし、あるいは399年後のことかもしれないのです。
毎年、各地で繰り返される水害、 その中でお年寄りが「長年、この地に住んできたがこんな雨は初めてだ」と話されるのをよく聞きます。
それでは、あなたが住んでいる土地が突然ダムになると言われたら、あなたは納得するでしょうか? ダムとは言わないまでも、例えば、あなたの家が道路になる、公園になると宣告されて、あなたは素直に立ち退くでしょうか? 私であれば、『猛反対』すると思います。これが、個人的な感情というものでしょう。 しかし、ダム事業者は、一つ一つ地道な努力を重ね地権者の理解を得て行ったのだと思います。一軒一軒、一人一人の理解の積み重ねが今日に至っているのです。
国民の生命と財産を守るという観点から、ダムは、自衛隊・海上保安庁・警察・消防などの行政機関と同等の仕事をしていると思います。 消防署の方が、火災が起きることを望んでいると思っているでしょうか。決してそんなことはありません。 万一の際に迅速な行動ができるように日々訓練をされているのです。 この訓練をムダな訓練だと非難する人がいるでしょうか。
上津ダム(撮影:安部塁) 仮に、自分が住んでいる町の市長がある日唐突に 「この町では鉄筋コンクリートの建物が増えたので、火災の心配が無くなった。ついては財政難なので、消防署職員を全員解雇する。その代り、少しだけ税金を安くしますよ。」 と宣言したらどうでしょう。 私は、そんな町からは逃げ出します。
八ッ場ダムをはじめとする全国各地のダム事業の見直しが、将来に禍根を残さなければ良いのですが。
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