森吉山(もりよしざん)ダム竣工式が平成24年3月、秋田県、北秋田市、能代市、東北電力(株)、森吉山ダム工事事務所で構成された、「森吉山ダム竣工式実行委員会」の主催により、ダムサイト右岸の広場において、関係議員の皆様、移転者の方々、行政機関、工事関係者等約370人が出席し執り行われました。
オープニングとして地元有志の皆様による「火祭り太鼓」の演奏が披露され、主催者代表として実行委員長の北秋田市長の挨拶、来賓としてお越し下さった秋田県知事並びに国会議員の皆様からのご祝辞、国土交通大臣(代理)から挨拶がありました。続いて、森吉山ダム工事事務所長より事業経過報告を行い、常用洪水吐からの記念放流、移転者の方々に故郷を偲び故郷に感謝を捧げていただく「故郷献花」が行われました。 また、秋田県無形文化財にも指定されている「阿仁前田獅子踊り」が披露された後、湖名碑「森吉四季美湖」とダム名碑の除幕式が行われ、最後に能代市長のご発声による万歳三唱で竣工式を終了しました。
【森吉山ダムの概要】
森吉山ダムは、米代川水系阿仁川の右支川小又川の上流約5kmの位置(北秋田市森吉地内)に建設されました。洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水の供給、水道用水の供給、発電の5つの目的を持つ多目的ダムです。 ダムの形式は、中央コア型ロックフィルダムで、堤高89.9m、堤頂長786m、堤体積585万m3です。流域面積248km2、湛水面積3.2km2、総貯水容量7,810万m3、有効貯水容量6,810万m3、洪水調節容量5,050万m3、利水容量1,760万m3となっています。
【森吉山ダム建設のあゆみ】
米代川や阿仁川沿川地域では、過去に幾度となく洪水による被害を被ってきました。昭和43年度から阿仁川ダムの予備調査に着手していたなか、昭和47年7月に洪水が発生し、家屋6,450戸、耕地8,836ha、公共施設822箇所などが浸水し、未曾有の被害を受けました。この洪水を機に、ダム群による洪水調節を考慮した「米代川水系工事実施基本計画」が策定され、この計画の一環として昭和48年に実施計画調査のために「阿仁川ダム調査事務所」が開設されました。 昭和63年2月には、「森吉山ダム建設に係わる基本計画」の告示を行い、平成元年には下流工事用道路工事に着手、平成3年6月に「森吉山ダム建設に伴う一般補償に関する協定」締結及び基準の妥結調印、平成8年7月には移転対象戸数200戸全ての移転が完了しました。 平成14年3月にダム本体工事に着手、平成15年11月に小又川を転流、平成17年6月にはダム定礎式を挙行、平成19年8月には堤体盛土が完了しました。 平成22年1月に試験湛水を開始し、12月6日に計画最高水位(EL177.2m)に達し、平成23年1月20日に無事、試験湛水を終了させています。
ダム建設工事にあたって、「森吉山ダムエコダム検討会」を設け、自然保護団体を含む学識経験者等の方々から幅広く議論をしていただき、その意見・提言を周辺環境や景観に反映したダムづくりを進めてきました。また、本体工事の施工管理には、ロックフィルダムで日本初の試みとして、民間技術を取り入れたCM技術活用方式を試行し、品質保持、コストの縮減、確実な現場管理の推進、コスト構造の明確化、施工全体の透明性向上などを図りました。
昭和48年の「阿仁川ダム調査事務所」の開設による着手から、39年を費やした森吉山ダムの竣工を出席者全員がお祝いした一日となりました。
(写真提供:東北地方整備局能代河川国道事務所)
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