Jパワー(電源開発株式会社)は、東京証券取引所第1部に株式を上場している民間企業です。所要の金銭を支払って決められた手続を行えば誰でもこの会社の株主になることができます。私もJパワーの株主の一人ではありますが、これまで株主総会というものには一度たりとも出席したことはありませんでした。この企業は経営基盤がしっかりしており、破産や特別清算のような損失とは遠縁な投資先と思っていたからです。 6月上旬、Jパワーの定時株主総会の招集通知が郵送されて来ました。私のように零細な個人株主であっても、出資額に応じた議決権を有しています。平日の日中に行われる株主総会ですが、偶然にもその日は、都心に行く用事があり午前中はフリーでした。そこで、初めて「株主総会」なるものに顔を出してみることにしました。
東京プリンスホテル、2014年6月26日 総会では、株主からの質疑に対して経営側が答弁するという場面を実際に“見学”することができました。株主からの発言の多くは、同社が青森県に建設中の大間原子力発電所の見通しと、松浦火力発電所のタービンロータ落下事故に集中したようです。水力発電に関して特に質問が出なかったところをみると、多くの株主は同社の水力発電事業に信頼を寄せている証ではないかと思っています。
株主総会出席記念品(ロゴ入りの図書カード・団扇) 数日後「株主通信」という総会の報告書が郵送されてきました。この報告書は、毎年この時期に届いていたはずですが開封もせずゴミとして処分していました。今回、この小冊子を開いてみると、胆沢第一発電所が7月より運転を開始することが記載されていました。
旧胆沢第一発電所は、石淵ダムから胆沢ダムへバトンタッチされた時(2012年10月)に廃止されました。新しい胆沢第一発電所は、胆沢ダムの堤体盛り立て完了後に着工(2011年2月)、東日本大震災が起こる直前のことでした。
胆沢ダム直下の発電所建設工事(2011年10月22日撮影) 胆沢ダムの直下には、それぞれ出力の異なる3つの発電機が設置されました。そのうち2つがJパワーの胆沢第一発電所1号機と2号機、1つが岩手県企業局の胆沢第三発電所です。これらは、同一敷地の同一建物内に併設されましたので外観からは識別が困難です。
建設中の発電所(2012年9月15日撮影) なお、旧胆沢第一発電所の運転開始は1954年のことで、佐久間ダム(1956年)に先立つものでした。旧胆沢第一発電所は、Jパワーとして最初の水力発電所であったということです。胆沢(岩手県奥州市水沢区)は、電源開発株式会社のいわば「創業の地」であったのです。
胆沢ダムサーチャージ水位達成(2013年5月7日、撮影:だい) 再生可能エネルギーの代表格は、「太陽光」や「風力」のイメージが先行しておりますが、やはり「水力」に優るものはないと思います。水力発電所は、相応の調整池(ダム)さえあれば、雨天でも、夜間でも、無風でも運転が可能です。利用した水は、特別な処理をする必要はなく、そのまま海まで流して問題ありません。もちろん、条件さえ整えば下流で発電用に再利用することが可能です。また発電所からの放流水は、農作物を育み、さらに生活用水として再々活用されます。
Jパワーでは株主向けの施設見学会(希望者多数の場合は抽選)を定期的に実施しているようです。今回は、磯子火力発電所の見学会が予定されていました。過去には同社管理ダムの見学会も行われていたようです。株主限定のダム見学会の案内が記載されていた“招待状”を読まずに捨てていた自分の愚行に本当にあきれ返りました。今後は、 Jパワーから郵送される資料にはじっくり目を通し、次のダム見学会には必ず応募したいと思います。
※このレポートは、電源開発株式会社の株式を推奨し購入を勧める意図で作成したものではありません。株式取引は投資元本が保証されているものではありません。株式の売買を行うときは、契約書面等を熟読のうえ最終的に自己の判断で行ってください。
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