《このごろ》
ロックフィルダムの法面のこと

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 本サイトのトップ写真に平成28年6月7日付けでaossan氏の「かくれんぼ」が掲載された。この写真は長野県にある奈良井ダムを下流から写したもので、その写真のコメントには、「ロックフィルであるものの草木が生い茂り、アースダムのようになってしまった奈良井ダム」とある。

 奈良井川の上流に奈良井ダムがあることは以前から知っていたが、ダムの現状については知らなかった。写真を見ると下流法面は全て草木で覆われており、下流面についてはリップラップの状況を確認することはできないようである。


aossan氏の「かくれんぼ」

 私は、あるダムの法面を芝桜で覆って「花咲くダム」をつくり、観光資源にしたいと考えたことがある。そのことを国土交通本省に問い合わせたら担当者から「ダムの法面を植物で覆うことはダムの法面の状況を目視できなくなり、問題が発生した場合に発見が遅くなるので植物で覆うことは絶対に許されない。」という回答をもらった。私は、なるほどダムの安全ということを考えれば、そのとおりかもしれないと納得した記憶がある。しかし、aossan氏の奈良井ダムの写真を見ていると複雑な気持ちになる。

 奈良井ダムは長野県が管理している補助の多目的ダムであり、当然、点検のときにダム下流面の状況も確認しているはずである。通常ロックフィルダムのリップラップの点検は、堤体下から全体を目視することで実施している。しかし、このように草木が繁茂している状況では通常の目視点検によるリップラップの確認は不可能であるように思う。また、国土交通本省は、このような状況は問題ないと是認しているのだろうか。

 現状の奈良井ダムの法面の状況が許されるなら、あの時、芝桜で覆われた「花咲くダム」をつくるための努力をもっとしていれば実現できたのではないかと写真を見て思ってしまう。

                    巡視点検時、いつもと違うことを発見したらすぐ報告!

                                          本日の巡視当番;のりちゃ

[関連ダム] 奈良井ダム
(2016.6.14、のりちゃ)
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