2016年11月8日、鳴子ダムの内部を見せて頂く事ができました。 約束の時間通りにダム管理事務所に到着、「いつもよりクルマが多いなぁ」と思ったら、もう一団体の見学が入っているそうで、職員の方が忙しく準備している最中でした。 挨拶を済ませて、早速、管理トンネル入口へと向かいます! 元々は“国道108号線の本山隧道だった”だけあって立派な扁額が付いています。
内部を進んで行くと、真ん中辺りで“トンネル内交差点”のような十字路が出現! 右折すると、そこにはインクライン乗降場がありました。
定員4名、最大積載300kgのキャビン内は結構狭く感じましたが、発車・停車の衝撃はさほど大きくなく、階段移動を思えば最大斜度60度も快適なプチ旅です♪
最下部到着、乗降場から外に出てみれば・・・ つい先日、“下から見上げてみようツアー”で見た光景が広がります。一段高いところからなのでデフレクターの様子がよく解ります、紅葉もキレイ!
「次は監査廊に行きましょう」と向かったのが下段監査廊。 途中には“坂見堰灌漑用水”のバルブがあります、ダム建設以前からの“灌漑用水”に供給する為のバルブで、管理室から遠隔で操作しているそうです。
この位置から一旦外部に出ると、現在建設中の小水力発電設備があります。灌漑用水に送る水を利用して管理所内の電力を賄うらしく、今年度中の完成を予定しているそうです。
再び通路に戻り少し進むとエレベーターがありました。降りれば下段監査廊の最深部となるのですが・・・、このエレベーター、ピニオンラック式でした。運転中、ギヤが噛み合う独特の音が印象的なのですが、ウルサイと言われてしまえばそれまでなのかな? アーチダムなので監査廊もアーチです!
今は使用されていない端子盤らしきものや、漏水、揚圧チェック機器の他にプラムラインもありました。 終端まで行って戻る格好で、今度は上段監査廊に向けてインクラインで移動。
連絡通路から堤体内に入る入口の手前で、チョットだけバルブ室に寄り道。
室内ではメンテナンス作業中だったので、そのまま外部へ出て写真だけ撮りました。 ココは“ハウエルバンガーバルブ”の上部にあたります。 下を見れば、放流バルブ越しに下段監査廊入口、上には非常用洪水吐と天端が見える。
上段監査廊に入るとすぐ左側に、当時の関係者の名前を連ねた「名板」が目に飛び込んできました。発注側と受注側で携わった方々のようです。 やはり上段監査廊も狭く、所によりカマドウマの大群が!(ギャーッ!!)
アーチダムの比較的「薄い」堤体内に、監査廊といえども「空洞」を造る訳ですから、小さいに越した事は無い!ということでしょうけれど、そのために必要な強度計算などは全て手作業でやっていたんですよね。気が遠くなるような話です!っと思えば、カマドウマなんて・・・! そんな中、プラムラインや地震計といった計測装置がありました。 ここも終端まで行って戻ってきます。
次は、インクライン経由で天端へ。見慣れた景色の中、ゲート室に向かいます。
建設当時は主ゲートだけでしたが、万が一の事を考慮して現在の主副2段構えのゲートに変更したそうです。現ゲートの脇(堤体側)に旧ゲートの名残があります。
再びインクラインで管理トンネルまで戻ってきて、先程の“トンネル内交差点”をそのまま直進して・・・、最後に案内されたのが“地すべり監査廊”と言うとトコロ。
名前だけ聞くとチョット怖いようにも聞こえるのですが、中身はといいますと・・・ 過去に発生した地すべりに向けてトンネルを掘り、常に湧水量などをチェックしているそうです。この水はタンク室に引き込まれ、ろ過して管理所の飲料水としても利用しているとの事でした。
複雑なカルデラ地形なので、地すべりが発生してダムに影響する前にボーリング調査を行い、必要ならば地盤を固める工事も実施しているそうです。 これで内部見学はおしまい、徒歩で管理所に戻ります。
管理所の玄関を入るとすぐ左側に展示室があるのですが、様々な資料が展示されています。 (一部、手にとって見ることができるものもありますよ!) アーチダムとして建設された鳴子ダムですが、「計画当時は重力式も検討されたけど、コンクリートの値段や工期、地形などの諸条件からアーチになった」とありました。 トンネル式洪水吐などの模型実験、冬の環境調査に使った動物の毛皮を貼り付けた木製スキー板、複雑な強度計算などに使った計算尺や機械式卓上計算機といった貴重なモノを見ることができます。 窓の外に広がるダム湖を眺めながら、当時の技術者になった気分を味わえるのではないでしょうか?(BGMはモチロン、中島みゆきのアレですよね?)
最後に… お忙しい中、時間をかけて隅々まで案内説明して下さった職員さんに感謝です。 長年の夢?、念願叶って、鳴子ダムの内部を見学することができ、貴重な体験ができて感動感激でした。本当にありがとうございました。
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