[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]


《Cダム建設そのものを社会的、政治的な面から捉え、批判した作品》

 第4に、ダム建設そのものを社会的、政治的な面から捉え、批判した作品である。

 架空のダム地点を設定した、大江賢治の『ダム食虫』(東邦出版社・昭和49年)はなまず川に坊主ダムが建設されることとなり、牧歌的な平家谷村に突如として、代議士、県会議員、外国の商社マンが現れ、地元住民を含めてダム建設の利益にあずかろうとする、その攻防を風刺的に描いた。

 石川達三の『金環蝕』(新潮社・昭和41年)は、ダム建設の工事発注をめぐって、政界、官界、財界の動きを内面的に鋭く捉えている。工事の発注については、ロ−ア・リミット方式が採用された。この小説を、社会派映画監督山本薩夫が、仲代達矢、三國連太郎、宇野重吉、京マチ子等の演ずる、同名『金環蝕』(大映・昭和50年)として映画化した。

 その他に、緒方克行の『権力の陰謀』(現代史出版会・昭和51年)、安部公房の『石の眼』(新潮社・昭和50年)を挙げる。


[前ページ] [次ページ] [目次に戻る]
[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]