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1.富山県のすがた

 富山県は、水源の森百選に「ありみね」(大山町)、「利賀ふれあいの森」(利賀村)、「赤祖父山のブナ林」(井口村)の3ケ所が指定をうけている。一方、名水百選に「穴の谷の霊水」(上市町)、「瓜裂の清水」(庄川町)、「立山玉殿の湧水」(立山町)、「黒部川扇状地湧水群」(黒部市、入善町)、水の郷百選に「黒部市」、「砺波市」、「入善町」、「庄川町」、農村景観百選に「相倉」(平村)、白砂青松 100選に「吉志の松原」(富山市浜黒崎)、「松田江の長浜」(氷見市窪、高岡市太田)が、各々選ばれている。このように富山県は森と川と海から一体となった水環境に恵まれ、「水の王国」と呼ばれている。このことは山、川、海の地形に拠るものであるが、その反面絶えず水害と干害が起こりやすく、人と水との闘いが続いた。水害については、1〜5月の融雪、6〜7月は梅雨前線、8〜10月は台風による洪水に見舞われることがある。

 富山県は本州の中央に位置し、人口約 112万人、東西90km、南北76kmの広さをもち、面積4247km2である。東部に北アルプス・立山連峰3000m級の山々が連なり、北端は親不知の断崖となって日本海に臨む。南には飛騨高地、西には医王山から加越国境の丘陵地となっている。東南西を山に囲まれ、北は富山湾に面する半盆地形のまとまりのある地形のなかに富山平野約8万haが広がっている。

 この富山平野は、立山連峰を水源とする急流河川黒部川(河川勾配1/190 〜1/90)、片貝川(1/100 〜1/53)、早月川(1/60〜1/49)、上市川(1/550 〜1/40)、常願寺川(1/428 〜1/80)、神通川(1/990 〜1/231 )、庄川(1/1487〜1/183 )、小矢部川(1/1530〜1/183 )の河川がたび重なる洪水を起こし、これらの河川の沖積作用によって、扇状地をなし形成された平野である。
 一方、この扇状地には農業用水が網の目のように張りめぐらされ、至るところに地下水も湧きだしている。


 なお、富山県の積雪は平野部1m、山間部は数mに及び、年間降水量は2245mm、山間部は4000mmを越える。このように、急流河川が多いことから、水害防止対策については重要視されてきた。天正9年城主佐々成政によって常願寺川に「佐々堤」が築かれている。明治16年富山県の発足以来、デ・レ−ケの水害調査、砂防事業、河川改修が本格的に始められ、一方治水事業と相まって、農業用水、水道用水、工業用水、発電用水、消流雪用水に係わるダム事業が進められていくことになる。ダム建設の条件として
・降雨量が多く河川流量が豊かであること
・積雪量が多く3〜7月に融雪すること、この積雪は水を貯えるダムの役割をになっている
・地形が急峻で開発が容易であること
・地質が良好でダムサイトに適した地点が多いこと
が挙げられる。

 以上、富山県のすがたについては、富山県統計調査課・富山県統計協会編・発行『富山がわかる本』(平成16年)を主に参考とした。


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