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2. 重信川の自然再生とネットワークの構築

 道後温泉の郷、松山平野を潤す重信川

 重信川は道後平野を流れる日本でも最も急勾配の河川の一つです。道後平野は重信川の氾濫により形成された砂礫層からなる沖積平野です。流域には50万人を超える人々が生活しています。そのため、河川環境は悪化しつつあります。大量の地下水の利用により瀬切れ箇所が拡大し、水のない砂礫の河原が続いている様を見ると、河川としての魅力が半減してきています。また、生活排水の流入により水質は著しく悪化してきています。特に、住宅地を流れている支川の水質悪化は凄まじいものです。下水道の整備が追いつかず、生活雑排水全てが川に垂れ流しされるので堪ったものではありません。また、川面に種々の生活ゴミが浮かんでいる様をみると日本の生活の豊かさと精神面での寂しさを感じさせられます。

 しかし、重信川には清らかな地下水が尽きることなく湧き出ている泉と野鳥の楽園となっている河口など、豊かな、誇るべき自然も残されていることを忘れてはなりません。本来、河川を流れるべき水が伏流し、浄化されて泉として湧き出てきます。その清流は住民にとって、自然にとって貴重でかけがえのない宝です。重信川には宝物の泉が実に130箇所もあります。

松山平野は砂礫層が広く分布しており、重信川も数kmに渡って伏流している.そのため、重信川には100を越える泉がある.写真は赤坂泉で、夏には多くの子供達が水泳を楽しんでいる.

河口は西日本有数の渡り鳥の飛来地.ヨシ原が減少し、河畔林が消失しているので、渡り鳥を取り巻く環境は悪くなっていると思われる.
 重信川は暴れ川

 重信川は治水面からみれば非常に手間のかかる暴れ川です。それは江戸時代に暴れ川を制した足立重信の名前を取って命名された非常に珍しい川であることからも分かります。住民はそれほど氾濫に悩まされ続けたわけです。重信川の上流部には花崗岩が風化したまさ土や和泉層群、更には石鎚層群と豪雨時に崩壊しやすい地質が分布しています。また、石手川ダム以外に治水のためのダムはなく、上流部で降った雨は一気に流れ下ります。重信川の流域は開発が進み、一度、洪水が発生すれば甚大な被害の発生が予想されます。温暖化で異常気象が続く昨今、治水には最大の注意を払うことが必要です。


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