おわりに
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以上、石川県における子浦川防災ダム、手取川ダム、小屋ダム、八ケ川ダム、医王ダムについて概観してきたが、すべて5基のダムは治水を含めた多目的ダムで建設された。そして、これらのダムはその時代の要請に応え、さらに能登地方、加賀地方の地域の人たちに必要とされたダム造りであったといえる。
現在建設中のダムは辰巳ダム(犀川水系犀川)、北河内ダム(町野川水系河内川)、寺田川ダム(寺田川水系寺田川)であり、一方ダム建設中止となった伊久留川ダム(平成8年決定)、河原ダム(平成10年)、所司原ダム(平成10年)もある。
昭和41年手取川の鶴来地点において基本高水ピーク流量6000m3/sで、ダムの施設によって1000m3/sの調節を行い、河道への配分流量は5000m3/sと決定された。平成10年9月の台風7号による出水では、大日川ダム、手取川ダムの建設、さらに河川整備も進み、昭和9年7月の大水害とほぼ同じ流量であったにもかかわらず氾濫被害は生じなかった。昭和9年の出水時と比べて最大 1.3mの水位を下げる効果を発揮した。
ただ、今日、異常気象の続くなかで油断は禁物であろう。当然なことだが、石川県においても、ハーザードマップの制定を含め、豪雨災害時の防災情報、伝達、高齢者の安全避難、災害ボランティアの体制等ソフト面での充実強化が大切な時代である。
おわりに、石川県の水環境に係わるいくつかの書を掲げる。
・北国新聞社編・発行『手取川紀行』(昭和61年) ・平野外喜平著『秘史手取川』(北国出版社・昭和45年) ・八木士郎著『白山麓手取川水系渓流伝説物語』(八木文庫・平成16年) ・北陸建設協会編・発行『手取川−その流れとあゆみ』(昭和59年) ・農林省農地局編・発行『手取川水系農業水利実態調査』(昭和32年) ・農水省北陸農政局編・発行『手取川農業水利事業工事誌』(昭和44年) ・農水省北陸農業試験場編・発行『手取川扇状地域の農業構造と水利用』(昭和55年) ・手取川七ケ用水土地改良区編・発行『手取川七ケ用水誌 (上・下巻) 』(昭和56・57年) ・金沢市河原市土地改良区編・発行『河原市用水誌』(平成8年) ・小松東部土地改良区編・発行『軽海用水誌』(平成8年) ・宮竹用水土地改良区編・発行『宮竹用水土地改良区創立50周年記念誌』(平成12年) ・石川県珠洲土地改良事務所編『岩坂ダム事業誌』(石川県・昭和60年) ・石川県環境部自然保護課編・発行『手取川・梯川の自然』(昭和58年) ・川原捷彰著『手取川の植物 (第1〜第3版) 』(能登印刷・昭和60・61・63年) ・角島一治著『河北潟・大野川−その変遷と風物』(自費出版・平成3年) ・笹倉信行著『金沢用水散歩』(十月社・平成7年) ・かつおきんや著『辰巳用水をさぐる−なぞの人 板屋兵四郎』(アリス館牧新社・昭和50年) ・堀直政著『辰巳用水−辻沢家の謎を解く』(辻沢義之助・昭和52年) ・中井安治著『辰巳用水−加賀藩政策秘話史』(北国出版社・昭和55年) ・高堀勝喜編『加賀辰巳用水』(辰巳ダム関係文化財等調査団・昭和58年) ・青木治夫著『辰巳用水にみる先人の匠』(能登印刷・平成5年) ・石川県編・発行『昭和九年石川県水害誌』(昭和10年) ・玉井敬泉著『加賀国手取川出水考昭和9年7月11日の水害』自費出版・昭和10年) ・金沢市電気水道局編・発行『金沢水道誌』(昭和8年) ・金沢市水道局編・発行『金沢市水道五十年史』(昭和55年) ・金沢市水道局編・発行『金沢市水道史続編』(平成4年)
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