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8.森下川(大野川水系)−医王ダムの建設


医王ダム

 森下川はその源を医王山(標高 913m)に発し、金沢市奥新保町、砂子坂町を貫流しながら田島川、涌波川を併合し、金沢市北部で河北潟(大野川水系)に流出する延長23.6kmの河川である。

 森下川流域は晴天が続くと水稲に干害被害が発生する。特に山間部の水田では、用水不足が慣性化し、栽培作物、農作業を阻害している。山間部における河川沿いの水田は比較的生産力が高く農家にとっては貴重な農地である。ところが洪水時には森下川の断面が狭少、不整形のために耕土の流失、破壊、土砂堆積が起こりやすい。

 これらの用水不足と農地防災を対処するために医王ダムは、昭和52年に着工し、金沢市二俣町地先に24年の歳月を経て平成13年に完成した。



 このダムの記録について、石川県金沢農林総合事務所編・発行『医王ダム事業誌』(平成14年)、大林・真柄・豊蔵特定建設工事共同企業体編・発行『ダム堰堤体工事誌』(平成12年)が刊行されている。ダムの目的は以下の通り。

・ 森下川沿川の耕地に用水補給を行う。
・ 沿川の洪水を防ぎ農地を守る。
・ 農業の経営の安定と近代を図る。

 ダムの諸元は、堤高58.8m、堤頂長 208.2m、堤体積59.3万m3、型式は中心庶水ゾーン型フィルダムである。起業者は石川県、施工者は・大林組、真柄建設・、・豊蔵組共同企業体で、事業費は 207.3億円である。

 この書のあとがきに、医王ダムの工事について、全体実施設計承認の際に「実施にあたり堤体材料の追加調査を行い、設計数値を確認すること」の指導があり、原石山、採土地の調査を実施しており、また、「河川管理施設構造令」(昭和52年7月制定)によって、河川協議の際に計画基準の強化、施設等の設備が提示された。このため19回のダム技術検討委員会の開催、48回にわたる岩盤検査を行い、医王ダムにおける難工事に対処されている。

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