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7.伊那谷の自然

 天竜川は、諏訪盆地の水を全て集めた諏訪湖を水源とする。釜口水門を出ると伊那谷に入、左岸で沢川、三峰川、小渋川、遠山川を、右岸で横川、大泉川、太田切川、中田切川、与田切川、片桐松川、飯田市で飯田松川を合流し、天竜峡の名勝地を過ぎ、泰阜、平岡、佐久間、秋葉、船明の各ダムを流下し遠州平野に出て、まもなく遠州灘へ注ぐ。標高 730mの諏訪湖からほぼ真直線一気に遠州灘まで 213kmを下る。

 天竜川は「天竜の主なる支川勾配」にみるように、3000m級の山々がそびえ立つ中央アルプスと南アルプスに囲まれた急流河川であり、とくに標高差が大きく急峻な地形を流れる支川はわが国でも屈指の急流河川である。三峰川、太田切川、小渋川等まるで滝のようである。


 一方伊那谷の「天竜川流域地質」をみてみると、風化しやすい風崗岩などで広範囲に分布し、日本列島を縦断する「糸魚川ー静岡構造線」、「中央構造線」、天竜本川や中央道を通る伊那谷(本谷)の構造谷が走っており、もろい地質構造を形成している。そのため山の斜面では大規模な崩壊が起きやすい。さらに年間降雨量は中央アルプス山岳部3000mm、南アルプス山岳部2800mm、飯田市等市街地1700mmと多い。このような条件から伊那谷における天竜川は、洪水時に大量の土砂が流れ込み、水害や土砂災害を引き起しやすい、地質、地形構造となっている。伊那谷における天竜川の治水、利水に関わるダム開発と管理にその苦悩の跡を追ってみる。


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