ダム事典[用語・解説](ページ:07)

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コンクリートダムの工法 (こんくりーとだむのこうほう)
 コンクリートダムについては、コンクリート打設の方法により、様々な工法がありますが、代表的な工法としては以下のようなものがあります。
 なお、工法の名称は、人により、時により異なった使われ方がされる場合があり、厳密な統一的定義があるわけではないようです。

■ブロック工法

 ダムのコンクリートの打設の際、コンクリート内部の温度応力によりクラックが発生することを防止するため、コンクリートダムを縦継目横継目によっていくつかのブロックに分割してコンクリートを打設する工法。ブロックの大きさはダム軸方向には15m、上下流方向には40m程度とするのが一般的です。ブロックを型枠で形成し、ブロックごとにコンクリートを打設します。施工途中に各ブロックが柱状に立ち上がり、ブロック間で段差ができるので、柱状工法、柱状ブロック工法などといわれることもあるようです。
 この工法は以前から用いられていた工法で、従来工法として分類されることがあります。ブロック間に5m〜10mの段差ができるので安全上問題があることやクレーン打設するしか方法がないことなど制約があります。(→日本のダム:コンクリートダムの工法


深城ダム


■レヤ工法
 ブロック工法が縦継目、横継目によっていくつかのブロックに分割してコンクリートを打設するのに対し、縦継目を設けずに横継目のみによってブロックに分割してコンクリートを打設する工法です。ブロック工法がブロック間の高低差を2リフト〜8リフト(3m〜12m)設けながら打設しているのに対し、高低差を設けずに1リフト差のまま打ち継いでいきます。拡張レヤ工法と区別するため、柱状レヤ工法、あるいはブロックレヤ工法と呼ばれることもあります。
 ブロック工法とともに、従来工法に分類されます。(→日本のダム:コンクリートダムの工法

■拡張レヤ工法
 コンクリートダムの合理化施工法の一つ。ELCM(Extended Layer Construction Method の略、エルコムと発音されるようです)ともいいます。
 コンクリートダムを打設する際、レヤ工法では横継目により多数のブロックに分割されますが、拡張レヤ工法は施工設備などの許す範囲内でできるだけ継目を設けずに大きな範囲を一度に打設する工法です。横継目は、打設後、振動目地切機などにより設置します。打設面に段差が生じないため、RCD工法とともに面状工法として分類されることがあります。横継目の型枠が省略できること、施工ヤードが広くなり大型機械を使用できる、施工の安全性が向上することなどにより、施工の合理化・省力化が可能です。
 この工法は、1979年に一庫ダムの副減勢工で試験的に施工され、その後ダム本体にも採用されるようになり、現在では中・小規模の重力式コンクリートダムの主流の工法となっています。(→日本のダム:拡張レヤ工法)(→日本のダム:コンクリートダムの工法



上津浦ダム


四川ダム(撮影:安河内孝)


浄土寺川ダム(撮影:加藤敦)


鷹生ダム(撮影:安河内孝)


■RCD工法
 Roller Compacted Dam-Concrete の略。コンクリートダムの合理化施工法としてわが国で開発されたもので、セメントの量を少なくした超硬練りのコンクリートをブルドーザーで敷均し、振動ローラで締め固める工法です。打設面に段差が生じないため、拡張レヤ工法とともに面状工法として分類されることがあります。従来工法に比べ、ブルドーザーや振動ローラといった多くの機械を使うことができること、大量打設が可能なことなどの利点があり、工期の短縮と工費の低減、工事の安全性を図ることができます。



上野ダム


九谷ダム


 この工法は、1978〜80年に島地川ダムで世界で初めて施工されて以降徐々に採用が広がり、近年は、宮が瀬ダム、浦山ダム、月山ダムなどの大型ダムも完成し、中・大規模コンクリートダムの主流の施工法となっています。(→日本のダム:RCD工法)(→日本のダム:コンクリートダムの工法



島地川ダム


宮が瀬ダム


浦山ダム


コンクリートの運搬設備 (こんくりーとのうんぱんせつび)
 コンクリートダムでは大量のコンクリート使用するため、コンクリートの運搬設備を設置します。バッチャープラントでコンクリートを製造し、それをバンカー線上のトランスファーカーやバケット台車、クレーン、インクラインなどで打設場所まで運びます。バッチャープラントから打設現場までのコンクリート運搬をダンプトラックのみの一工程で行うこともあり、「ダンプ直送」と表現されるようです。

■バッチャープラント
 材料を混ぜ合わせ、ダムコンクリートを作るための施設。大規模なコンクリートダムの場合、コンクリートを大量に使うため、一般に、コンクリートを購入するよりも現場で製造したほうが安くなります。このため、現地にバッチャープラントが設置されます。



苫田ダム


梶毛ダム



石井ダム


竹谷ダム


灰塚ダム


三河ダム


■バンカー線

 バッチャープラントで造られたダムコンクリートをクレーンの吊り込み位置まで運ぶための走路。コンクリートの運搬方法によりバケット台車方式とトランスファーカ方式があり、それぞれ、バンカー線上をバケット台車またはトランスファーカが走行します。走行方式としては、レールを敷いた軌条方式と、タイヤ方式がりますが、軌条方式が一般的です。


左側にバンカー線、その上のトランスファーカからバケットにコンクリートが移されている−川辺ダム


■トランスファーカ
 バッチャープラントで造られたダムコンクリートを運搬する機械。バッチャープラントの下でコンクリートを積み込み、バンカー線上をクレーンの吊り込み位置まで運び、そこでコンクリートをクレーンに吊ったままのバケットに放出します。



自動運転システム−大志田ダム


バケットにコンクリートを放出−上津浦ダム


中木庭ダム


灰塚ダム


■バケット
@鉱石、土砂などを中に入れて、運搬などを行う容器の総称。
Aコンクリートを打設場所まで運搬する際に使用する容器。正式にはコンクリートバケット。コンクリートをこの中に入れてクレーンなどにより運搬します。
 開閉の動力には油圧式、エアー式があり、リモコンにより開閉します。



ベッセルダンプトラックからバケットへコンクリートを放出−こまちダム


こまちダム−200tクローラクレーンに吊られている


本河内高部ダム


■バケット台車
 バンカー線上を移動するバケットを載せる台車で、バッチャープラントで造られたダムコンクリートを運搬するために使用されます。バケット台車にはバケットが2つ載るスペースがあります。バッチャープラントの下でコンクリートがバケット台車に積まれたバケットに移され、バケット台車はバンカー線上をクレーンの吊り込み位置まで走行し、そこで実バケットを積んだままクレーンが戻ってくるのを待っています。クレーンが空のバケットを吊って戻ってくるとバケット台車の空いているスペースに空バケットを下ろし、代わりに実バケットを吊って打設現場に運びます。

■ケーブルクレーン
 ダムの両岸からダムを跨ぐ形でケーブルを張り、荷物を運搬するクレーン。両端固定式、弧動式、両端走行式に分類されます。コンクリートを入れたバケットをつり下げ、バケットを移動させることによって堤体打設場所までコンクリートを運びます。ダムコンクリートの運搬方法としては最も一般的です。コンクリートのほかに、いろいろな材料・機械なども運びます。(→知識を深める:建設機械コレクション(2)〜吊して運ぶ

■ジブクレーン
 旋回可能な腕(ジブ)を持つクレーンの総称で、腕の先端から荷物をつり下げて運搬します。タワーを立てて、その頂部に腕がつく構造のものは、タワークレーンともいいます。

■クローラクレーン
 クレーンを無限軌道(クローラ)付き車両に搭載したもの。移動可能で、軟弱地盤にも強く、堤体打設場所へコンクリートを運ぶのに使われることがあります。(→知識を深める:建設機械コレクション(2)〜吊して運ぶ

■インクライン
 ダムサイトの斜面に沿って軌道を設け、巻きあげ装置などによりコンクリートなどを運搬する設備。斜面の上方から下方の打設場所までコンクリートなどを運ぶのに使います。

■ダンプトラック
 荷台の代わりに強固な容器を取り付けたトラック。容器を油圧装置で傾けることができ、積み荷を重力によって容易に滑り降ろすことができます。最も広く利用されている運搬用機械で、骨材コンクリートなどの運搬に使用されます。
 公道上を走れるものとそうでないものがあり、区別するときには公道上を走れるものを普通ダンプトラック、そうでないものを重ダンプトラックと呼びます。ダンプトラックの大きさは最大積載量をトンで表し、普通ダンプトラックは最大11t積みまであり、重ダンプトラックは20tから190tを超えるものまであります。
 コンクリートダムでは10t〜25tクラスが、ロックフィルダムでは25t〜90tクラスのダンプトラックが用いられます。
(→知識を深める:建設機械コレクション(1)〜載せて運ぶ



普通ダンプトラック−灰塚ダム


普通ダンプトラック−益田川ダム



重ダンプトラック−南相木ダム


重ダンプトラック(90t)−徳山ダム(撮影:Dam master)


重ダンプトラック(90t)−徳山ダム(撮影:さんちゃん)


コンクリートバケット (こんくりーとばけっと)
バケット

コンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム (こんくりーとひょうめんしゃすいへきがたろっくふぃるだむ)
ダムの種類

コンクリートポンプ車 (こんくりーとぽんぷしゃ)
 コンクリート運搬車などから生コンクリートを受け取り、これを加圧して、輸送管によって打設場所まで運ぶための装置を搭載しているトラックです。



小里川ダム


小里川ダム


コンジットゲート (こんじっとげーと)
ゲート

コンソリデーショングラウチング (こんそりでーしょんぐらうちんぐ)
グラウチング

コンタクトクレイ (こんたくとくれい)
 フィルダム遮水ゾーンの盛立て材料として、岩盤やコンクリート表面との接触部に用いられる細粒の土質材料のことです。



コンタクトクレイの転圧


コンタクトクレイの転圧


サーチャージ水位 (さーちゃーじすいい)
ダム計画上の水位と容量

再開発 (さいかいはつ)
 必ずしも明確な定義があるわけではないようですが、一般に、既設のダムについて機能の保全・拡充のための事業を実施することを再開発と呼びます。既設のダムをそのまま使用することになる場合も、除却して新たなダムが建設されるような場合もあり、また、同種の事業であっても時代により、事業規模により、また事業主体により再開発と呼ばれているものとそうでないものがあったりもするようです。
 類型的には、例えば、
・既設堤体嵩上げ 
・下流に新設して既設堤体は水没あるいは除却
・貯水池掘削などによる容量保全・増強
取水塔、取水堰の改築または新設
などがあります。(→日本のダム:再開発一覧
 なお、最近では、似たような意味で、リニューアルという言葉も使われているようですが、ともに明確な定義のある言葉ではないようです。

細骨材 (さいこつざい)
骨材

財団法人日本ダム協会ホームページ写真コンテスト (ざいだんほうじんにほんだむきょうかいほーむぺーじしゃしんこんてすと)
 (財)日本ダム協会のホームページが実施するダムに関する写真のコンテスト。略称は、D-shot contest。ホームページで募集し、応募者はメールに写真ファイルを添付して応募し、結果はホームページで発表するといったように、インターネット上で実施する写真コンテストです。
 第1回は平成16年3月末日に応募の締め切り、4月に結果の発表。以降毎年実施されています。
(→知識を深める:第1回 D-shot contest 受賞作品)(→知識を深める:第1回 D-shot contest 〜こんな写真も〜)(→知識を深める:第2回 D-shot contest 受賞作品)(→知識を深める:第2回 D-shot contest 〜こんな写真も〜)(→知識を深める:第3回 D-shot contest 受賞作品)(→知識を深める:第3回 D-shot contest 〜こんな写真も〜


けんさん「空から見た温井ダム」(第1回 D-shot contest 最優秀賞)


最低水位 (さいていすいい)
ダム計画上の水位と容量

左岸 (さがん)
 川の流れる方向(下流側)を向いて、左側が「左岸」、右側が「右岸」です。

三次破砕 (さんじはさい)
クラッシャ

暫定豊水水利権 (ざんていほうすいすいりけん)
水利権

仕上げ掘削 (しあげくっさく)
粗掘削、仕上げ掘削

CMR (しーえむあーる)
CM方式

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