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正真正銘のダムの水

奥利根のダム群である国土交通省が管理する藤原ダムに見学に行くとノベルティとしてくれるダムの写真入りラベルのペットボトルの水がある(写真左)。それに対抗して(なのかはよく分からないけど)同じく奥利根ダム群の独立行政法人水資源機構が管理する奈良俣ダムのノベルティとして奈良俣ダムの深透水というペットボトルの水を作ったみたいで、下久保ダム(群馬県)で開かれた全国ダム観光ポスター展というイベントでこの2つの水を配っていた。


ダムのことを水瓶に例えたり、比喩表現的に「ダムの水を飲んでいます」という書き方をされることがある。しかし、この「奈良俣ダムの深透水」という代物、その名前が表す通り奈良俣ダムの堤体に染み込んで出てきた水をパックしたという正真正銘ダムの水で(藤原ダムの場合は近くの湧水だった)、ラベルにはロックフィルダムの模式図が描かれているという妙に画期的な飲料水に仕上がっているのだ。


「深透水」は、自然界が地下水を生み出すように、自然とダムが創り出した新しい「水」の形です。

奈良俣ダムはロックフィルダムといわれる形式で岩と土とで造られています。

ダム中央の土には、非常に高い圧力がかかっており、ダムに蓄えられた水がこの中を浸透することで濾過され、良質の「深透水」が造られます。

(解説文転載)

こんなところで新しい水の形を提案してる。ノベルティーなのにむやみやたらと攻めモード。

原材料名をみると


「水(ダム浸透水)」とちゃんと書かれているのだが、これは笑うところなのか。

以前、ダムサイト主催のダムツアーに参加したときに、奈良俣ダムの内部を見せてもらったことが有り、そのときに管理されている方が「これから水資源開発公団が独立行政法人化するので、独立採算性といったことを考えていかなくてはいけないが、なかなか難しい」みたいなことをしきりに言っていたのが妙に印象に残っているのだけど、まさかこんな形でチャレンジするとは…(※製品化する予定はないそうです)。

東京ジオサイトプロジェクトが土木工事の現地見学会に今までに無い演出手法を用いることによって工事現場のイメージを打ち破ることに成功したが、これはそれに匹敵する事なんじゃないだろうか。一本のボトルの水からロックフィルダムの構造や特徴、ダム湖の水質などいろいろなことを雄弁に語りかけてくるような気がしませんか。

ちなみに味は(味覚オンチなので当てにならないと思いますけど)藤原ダムの水より重い感じ。湧水と川の水の違いかな。苦いとかそういうわかりやすい味があるわけじゃない。


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