河川法改正と国民に開かれた河川・ダム行政
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河川環境の整備と維持・保全を求める国民の声は多様化しており、河川の特性と地域の歴史・風土・文化に即した河川環境整備を推進する必要があった。そのためには地域住民との行政当局との連携が不可欠であり、整備計画策定にあたっては、地方自治体や流域住民の意向を反映する手続きを改善する必要があった。そのキーワードは「住民参加」である。こうした時代の要請を受けて、平成9年(1997)河川法が改正された。昭和39年に新河川法が制定されて以来の大改正となった。改正の主な骨子は、@河川法の目的に「河川環境の整備と保全」が加えられた。画期的なことであった。従来の工事実施基本計画に代えて長期的な計画である河川整備基本方針とおおむね30年程度の計画である河川整備計画を策定することとされた。この計画は特筆すべきことで、河川管理者が河川整備計画の方針に沿って、計画的に河川の整備を実施すべき区間について、ダム・堤防等の具体的な河川工事、河川維持の内容に関する事項について定めたものである。A河川整備計画の策定にあたっては、学識経験者や地元代表の意見を聴取するとともに、地元住民の意向を充分反映させるために必要な措置を講じることとされた。「流域住民の参加」と「国民に開かれた河川行政」がうたわれたのである。河川法大改正を経て、ダム事業を実施する場合にも住民の意向を反映する手続が法制化された。
平成8年(1996)より試行的に始まった国土交通省と水資源機構の「ダム等の管理に係るフォローアップ制度」では、ダムごとに原則として5年おきに過去の調査結果の分析・評価を行い「定期報告書」を作成した上で公表することとされた。平成15年度からその作成が進められているが、同年度は13ダムで報告書が作成されフォローアップ委員会で審議された。その結果、継続的な調査の必要性が求められた項目はあったものの、抜本的な改善を指摘された項目はなく、適正なダム管理が実施されていると評価された。
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